検索しても「読まれない」──その理由が少し見えてきた
前回、「検索順位は上がったのに読まれない」「アクセスが減っている」という違和感について書きました。
▶ 前回記事:検索が効かない時代が来る?SEOの違和感とその先にあるもの
あれからさらに調べ、観察していくうちに、ある変化に気づきました。
それは、検索からの「行動導線」が根本的に変わってきているということです。
しかも、そこにはちゃんと名前がついていました。
AEOとGEO──。
いま、検索最適化の新しい考え方として、この2つのキーワードが静かに広がりはじめています。
SEOだけでは届かない時代が来ている
これまでのSEOは、検索結果に表示されること=見られることという前提に成り立っていました。
しかし、最近はこういった現象が起きています:
- 表示回数は多いのに、クリックされない
- 順位は高いのに、ページの閲覧数が増えない
- 質の高い記事を書いても、そもそも読まれない
原因は明らかで、検索結果に「答えそのもの」が表示されることが多くなってきたからです。
ユーザーはリンクをクリックせず、Googleの画面上で答えを得て完結してしまう。
でも、これだけでは終わりません。
検索エンジン以外の“答えを出す存在”も増えてきているのです。
それが、ChatGPTやGemini、Perplexityなどに代表される「生成AI」です。
AEOとは?──検索エンジンに“答え”として扱われるための最適化
AEO(Answer Engine Optimization)という言葉を知っていますか?
これは、検索エンジンや音声アシスタントが「即答」するために情報を最適化する考え方です。
たとえば、次のような場面がAEOの典型です。
- Googleの「強調スニペット(ゼロクリック回答)」
- SiriやAlexaが質問に答えるとき
- ChatGPTがネットを参照して回答する場合
AEOは、ページがクリックされることよりも、ページの中の一部分が「答え」として抜き出されることを重視します。
言い換えると、
「誰かに読まれる」よりも、「検索エンジンに“使われる”」ことが目的です。
GEOとは?──生成AIに“引用される”ための最適化
一方、GEO(Generative Engine Optimization)は、ChatGPTのような生成AIが情報源として参照するために最適化する考え方です。
これは新しい概念で、まだ日本ではほとんど知られていません。
生成AIは、「Webページを読み込み→文章を要約・再構成し→回答を作る」仕組みになっています。
このとき、AIが「どのサイトを参照するか」によって、答えの信頼性や方向性が変わります。
つまり、引用されるサイトにならなければ、あなたの情報は“なかったこと”になる可能性がある。
SEOでは「見つけられること」、AEOでは「抜き出されること」、
そしてGEOでは、「AIに選ばれること」がカギになります。
3つの最適化の違いを整理してみる
ここまでを整理すると、次のように3つの最適化には明確な違いがあります:
最適化 | 主な対象 | 目的 | ユーザー行動の変化 |
---|---|---|---|
SEO | 検索エンジン | 順位表示・クリック誘導 | 検索→クリック→記事閲覧 |
AEO | 検索エンジン・音声AI | 回答として抜粋される | 検索→即答(クリックせず) |
GEO | 生成AI(ChatGPT等) | 引用・参照される | 質問→AI回答→出典を見る or 見ない |
なぜ今、AEOやGEOが必要なのか?
従来の「SEOを頑張れば流入が増える」時代は、すでに限界にきています。
- ユーザーがAIに直接質問するようになった
- Googleも即答や要約機能をどんどん強化している
- 「読む前に答えが出る」世界になりつつある
これからは、どのように検索されるかではなく、
誰の情報が使われるか、信頼されるかが重要になっていくでしょう。
そのときに役立つ考え方こそが、AEOとGEOなのです。
まとめ:「答えを出すのは、もう検索エンジンだけじゃない」
今までのSEOは、「上位表示」や「キーワード選定」がゴールでした。
けれど、これからは違います。
- 読まれなくても「引用されていれば意味がある」
- 上位表示されなくても「AIが使ってくれれば伝わる」
- たとえ1記事でも、信頼されれば多くのユーザーの目に触れる
つまり、見つけられるから引用されるへ。検索の価値が変わりつつあるのです。
次回予告:3つの最適化はどう使い分ければいいのか?
SEO、AEO、GEO──
それぞれの最適化の役割と違いが少しずつ見えてきました。
では、具体的にどんな記事がどの最適化に向いているのか?
3つをどう使い分ければ、発信力を最大化できるのか?
次回は、3つの軸を整理し、戦略としてどう選べばいいのかを掘り下げます。