ECサイトの費用とは、初期費用と月額固定費、そして売上に比例して増える変動費(決済手数料・システム利用料・売上ロイヤリティ・ポイント原資・アフィリエイト報酬)の合計であり、どのチャネルが安いかは月商と客単価が決まらないと決まりません。「月額いくら」だけを並べた比較表では答えが出ない、というのがこの費用構造の結論です。
実際、楽天市場の公式シミュレーションに月商50万円・客単価3,000円・ファッションと入力すると、がんばれ!プランの月額合計は89,137円(税別)=売上の17.8%と表示されます。よく見かける「モール手数料は10〜15%」という説明は、この規模では成立しません。
この記事では、楽天市場・Yahoo!ショッピング・Amazon・Shopify・BASE・カラーミーショップ・makeshop の公式料金ページを同じ日(2026年8月2日)に突き合わせ、自分の月商と客単価を入れれば「売上の何%が手数料に消えるか」が出る計算手順までを書きます。金額はすべて出典と取得日つきです。
ECサイトの費用は「初期・固定・変動」の3層で決まる
費用を比較して迷子になる原因は、性質の違う3つの費用を1つの数字に混ぜていることにあります。まず層に分けます。
| 層 | 中身 | 判断への効き方 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 出店・契約時に1回だけ発生する | 一度きり。運営が続くほど無視できる |
| 月額固定費 | 売上が0円でも毎月発生する | 月商が小さいほど重くのしかかる |
| 変動費 | 売れた分だけ増える | 月商が大きいほど重い。売上比で見ないと見えない |
変動費に何が含まれるか
比較記事で抜け落ちやすいのは変動費です。実際には次の項目が積み上がります。
- 決済手数料(クレジットカード・コンビニ・キャリア決済など、決済方法ごとに料率が違う)
- システム利用料・売上ロイヤリティ(モールが売上そのものに対して取る)
- ポイント原資(楽天ポイント、Yahoo!のストアポイント。付与分は出店者の負担)
- アフィリエイト報酬と、その報酬に対して重ねてかかる手数料
- サービス利用料(BASEのスタンダードプランの3%など、決済手数料とは別枠のもの)
- 注文1件ごとの固定手数料(BASEの40円など。客単価が低いほど売上比が跳ね上がる)
税表示が各社でそろっていないので、先に土俵を決める
比較の前に潰しておくべき落とし穴があります。公式ページの税表示が会社ごとに違います。以下は各社の料金ページに実際に書かれている表記です(2026年8月2日時点)。
| サービス | 公式ページの税表示 |
|---|---|
| 楽天市場 | 「上記の料金はすべて税別です」と明記 |
| Yahoo!ショッピング | 月額システム利用料10,000円(税抜)と明記 |
| Amazon(大口出品) | 月額4,900円(税抜)と明記 |
| makeshop | 「価格はすべて税込表示です」と明記。税抜も併記 |
| カラーミーショップ | 「価格表記はすべて税込です」と明記 |
| BASE | 年払い金額の記載で税込と明記 |
| Shopify(日本語の料金ページ) | 税の扱いの記載が見当たらない |
本記事は税抜(税別)に寄せて比較します。makeshopは公式が併記している税抜額を、カラーミーショップは税込額を1.1で割った額を使います。Shopifyの表示価格とBASEの1注文40円は税の扱いが公式に書かれていないため表示のまま計算しています。したがってASP側の合計額には最大1割程度のブレがありえますが、後述するモールとの差はこのブレでは埋まりません。
モール3社の実額|月商50万円で何円かかるのか
条件をそろえます。月商50万円・客単価3,000円・ファッションジャンル・月間注文数167件。この条件で3社を並べます。
楽天市場|プランを上げるほど売上比は悪化する
楽天市場の出店プランは3つあり、全プラン共通で初期登録費用60,000円(税別)、契約期間は1年です。公式ページの料金シミュレーションに前述の条件を入力した結果が以下です。
| プラン | 月額出店料 | 月商50万円時の合計 | 売上比 |
|---|---|---|---|
| がんばれ!プラン | 25,000円 | 89,137円 | 17.8% |
| スタンダードプラン | 65,000円 | 118,638円 | 23.7% |
| メガショッププラン | 130,000円 | 183,638円 | 36.7% |
すべて税別です。出典は楽天市場の出店プランと費用のページ(2026年8月2日にブラウザで表示させて取得)。小規模な出店で「手数料10〜15%」に収まるという説明は、この実測値と食い違います。
Yahoo!ショッピング|2026年9月から有料化される
Yahoo!ショッピングは長く「初期費用・月額システム利用料・売上ロイヤリティがすべて無料」で知られてきましたが、2026年9月から出店プランが刷新されます。公式サイトに掲載されている新料金は次のとおりです。
| 費用項目 | 新料金(2026年9月から) |
|---|---|
| 初期費用 | 0円 |
| 月額システム利用料 | 10,000円(税抜) |
| 売上ロイヤリティ | 2.5% |
| ストアポイント原資負担料 | 1%は必須(1〜15%で設定可能) |
| アフィリエイトパートナー報酬 | 2〜4%は必須(カテゴリによる) |
| アフィリエイト手数料 | パートナー報酬の30% |
| LINEショッピングタブ掲載経由料金 | 経由2〜4%(2026年は発生しない) |
同じページの公式シミュレーションに月商50万円・ファッションを入れると、費用総額は44,750円=売上の9.0%と表示されました。内訳は月額10,000円・売上ロイヤリティ12,500円・決済サービス利用料15,000円・ストアポイント原資5,000円・アフィリエイト1,950円・LINEショッピングタブ経由300円です。
ここで公式ページ内の食い違いに注意してください。LINEショッピングタブ経由の300円は「2026年は発生しません」と注記されているのに、シミュレーションの総額には含まれています。2026年内の実額として読むなら44,450円=8.9%です。出典はYahoo!ショッピングの出店案内ページ(2026年8月2日、実ブラウザでシミュレーションを操作して取得)。
Amazon|カテゴリと価格帯で料率が変わる
Amazonは月額が安い代わりに、販売手数料がカテゴリと価格帯で細かく分かれます。大口出品は月額4,900円(税抜)、小口出品は商品ごとに100円。販売手数料は公式表現で「多くの場合は5%〜15.4%」です。
| カテゴリ | 販売手数料 | 最低販売手数料 |
|---|---|---|
| 本・DVD・ミュージックなどのメディア | 15.4% | なし |
| 服&ファッション小物 | 750円超2,500円以下は8.4%、2,500円超3,000円以下は12.4% | 30円 |
| パソコン・周辺機器 | 750円超は8.4% | 30円 |
| ホーム&キッチン | 750円超は15.4% | 30円 |
| Amazonデバイス用アクセサリー | 45.4% | 30円 |
客単価3,000円のファッションなら12.4%の帯に入るので、月商50万円での試算は「4,900円+500,000円×12.4%=66,900円=13.4%」。ただし料率がかかるのは「売上の合計」=商品価格に配送料・ギフト包装料・税を足した額なので、実際はこれより上振れします。FBAを使うなら配送代行手数料と保管手数料が別途乗ります。出典はAmazon出品サービスの料金ページ(2026年8月2日取得)。
モール3社の横並び
| チャネル | 月額固定費 | 月商50万円時の合計 | 売上比 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 がんばれ!プラン | 25,000円 | 89,137円 | 17.8% |
| Amazon 大口出品 | 4,900円 | 66,900円 | 13.4% |
| Yahoo!ショッピング(2026年9月から) | 10,000円 | 44,750円 | 9.0% |
同じ「モール」でも売上比は9.0%から17.8%まで開きます。ひとくくりの手数料レンジで判断してはいけない理由がここにあります。なお、プラットフォームに乗ったときに手数料が売上比でどう効くかという論点はECに限りません。アプリ販売側の実例は Apple Small Business Programの手数料15%の仕組み にまとめています。
ASP4サービスの実額|月額だけを見ると判断を誤る
ASP(クラウド型ECサービス)は自社ECを短期間で立ち上げる方法です。ここでよくある失敗が「月額0円だから一番安い」という判断です。決済手数料とサービス利用料を足すと順位が入れ替わります。
初期費用と月額固定費
| サービス・プラン | 初期費用 | 月額固定費 | 販売手数料 |
|---|---|---|---|
| Shopify Basic(年払い) | 0円 | 3,650円 | なし |
| BASE スタンダード | 0円 | 0円 | なし |
| カラーミーショップ レギュラー | 3,300円(税込) | 4,950円(税込) | 0円 |
| makeshop プレミアム | 11,000円(税込) | 13,750円(税込) | 0円 |
Shopifyは月払いだとBasic 4,850円・Grow 13,500円・Advanced 58,500円で、年払いにするとそれぞれ3,650円・10,100円・44,000円に下がります。Plusは368,000円から。カード手数料はBasic 3.55%・Grow 3.4%・Advanced 3.25%・Plus 2.9%で、Shopify ペイメント以外の決済を使うと外部サービスの取引手数料が別途2%(Basic)かかります。BASEのグロースプランは月額16,580円(年払いの1か月あたり。月払いなら19,980円)です。
同じ条件で変動費まで足すと、こうなる
モールと同じ条件(月商50万円・客単価3,000円・月間注文数167件)で計算し、税抜に寄せた合計です。
| サービス・プラン | 変動費の内訳 | 月額合計 | 売上比 |
|---|---|---|---|
| Shopify Basic(年払い) | カード3.55%=17,750円 | 21,400円 | 4.3% |
| カラーミーショップ レギュラー | カード3.4%=17,000円 | 21,500円 | 4.3% |
| makeshop プレミアム | カード3.19%=15,950円 | 29,950円 | 6.0% |
| BASE スタンダード | 3.6%+40円/注文+サービス利用料3% | 39,680円 | 7.9% |
並べ替わりました。月額0円のBASEが、この条件では4サービス中いちばん高くなります。理由は決済手数料3.6%に加えてサービス利用料3%が重なり、さらに1注文あたり40円が乗るからです。167件で6,680円、売上比にすると1.3%です。客単価が低いほどこの40円は効きます。
makeshopの合計には、料金表に載っているmakeshopペイメントの月額1,650円(税込・税抜1,500円)を含めています。1点、公式ページ内で数字が食い違っている箇所があります。料金表ではプレミアム3.19%・エンタープライズ3.14%ですが、同じページのFAQは「プレミアムプランは……3.14%」と書いています(2026年8月2日時点)。本記事は料金表の3.19%で計算しました。プランごとの内訳と長期契約割引は makeshopの機能と料金プランの詳細 で個別に扱っています。
各社の出典は Shopifyの料金プラン、BASEの料金プラン・手数料、カラーミーショップのプラン・料金一覧、makeshopの料金プラン。いずれも2026年8月2日に取得しました。決済ブランドのロゴを自社ECに掲載するときの規約は 決済ブランドロゴのECサイト掲載ルール にまとめています。
商品点数が増えたときの選択肢
上の4サービスから外れる規模になったら、makeshopのエンタープライズプラン(月額55,000円から・初期費用11,000円から・商品登録50,000点)や、futureshop(初期費用22,000円から・月額27,000円から・売上手数料0円。omni-channelプランは初期752,000円・月額167,000円)が候補になります。ただしfutureshopは決済機能の料金が別建てで、公式の料金ページからは決済料率を確認できませんでした。本記事の売上比の表に載せていないのはそのためです。
フルスクラッチとオープンソースは、月額比較の土俵に乗らない
フルスクラッチ開発とオープンソース型(EC-CUBEなど)は、ここまでの表に並べられません。月額の定価が存在せず、費用が要件と体制で決まるからです。この2つは見積もりを取る以外に金額が確定しないと理解しておくのが正確です。
「2,000万円」「500万円」という相場の数字について
フルスクラッチ2,000万円以上、オープンソース型500万円以上という数字が業界で広く流通しています。ただし、この記事を書くにあたって一次ソースを探しましたが、制作会社が自社サイトに掲げる価格帯以外の典拠は見つけられませんでした。断定的な相場として扱わず、複数社から実際の見積もりを取ってください。金額の桁が事業計画を左右する部分なので、他人の記事に書かれた数字を前提に置かないほうが安全です。
EC-CUBEは「オープンソースだから無料」ではない
国内で代表的なEC-CUBEは、公式サイトに「EC-CUBEの使用にあたって、無償のGPLライセンスと有償の商用ライセンス、どちらかを選択できるデュアルライセンス方式を採用しております」と明記されています。ソースコードが公開されている=無料で使える、と単純化すると、ライセンス選択を誤ります。
加えて、GPLを選んでソフト自体を無償で入手しても、サーバー費用・保守・脆弱性対応は自社の負担です。EC-CUBEは公式にセキュリティホールのリストを掲載し、該当範囲を修正せずに運用しているサイトへ対応を呼びかけています。この保守コストを月額に換算しないまま「無料」と比較すると、ASPより高くつくことがあります。最新版は4.3.1-p1(2026年3月4日リリース、GitHubのリリース情報で確認)。出典はEC-CUBEの無料ダウンロードページ(2026年8月2日取得)。
自分の月商でどれが安いかを計算する手順
ここからがこの記事の本体です。用意するのは月商・客単価・商品ジャンルの3つだけ。電卓か表計算ソフトで追えます。
手順
- 月間注文数を出す。月商 ÷ 客単価 = 注文数。例:500,000 ÷ 3,000 = 167件
- モールの場合:月額出店料 + 月商×システム利用料率 + 月商×ポイント原資率 + アフィリエイト経由売上×ジャンル料率×(1+その手数料率)+ 月商×決済料率
- ASPの場合:月額 + 月商×決済手数料率 + 月商×サービス利用料率 + 注文数×1件あたりの固定手数料
- 出た金額を月商で割り、「売上の何%か」に単位をそろえる。ここまでやらないとチャネル同士を比べられない
- 自分の粗利率と並べる。売上比が粗利率を超えていたら、そのチャネルは売るほど赤字
手計算で楽天の89,137円を再現してみる
計算式を理解できているかは、公式シミュレーションの表示値を自分で再現できるかで判定できます。楽天市場の「がんばれ!プラン・月商50万円・客単価3,000円・ファッション」の内訳は次のとおりです。楽天の既定の想定はPC経由20.5%/モバイル経由79.5%、売上の95%が楽天会員による購入、売上の15%がアフィリエイト経由です。
| 費用項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 月額出店料 | 固定 | 25,000円 |
| システム利用料(パソコン) | 50万×20.5%×6.5% | 6,662円 |
| システム利用料(モバイル) | 50万×79.5%×7.0% | 27,825円 |
| 楽天ポイント | 50万×95%を100円につき1円 | 4,750円 |
| 楽天スーパーアフィリエイト | 50万×15%×4.0%とその30% | 3,900円 |
| 取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料 | 50万×0.1% | 500円 |
| R-Messe | 固定(無料期間中) | 3,000円 |
| 楽天ペイ利用料 | 50万×3.5% | 17,500円 |
| 合計 | — | 89,137円 |
見落としやすいのはアフィリエイトです。50万×15%=75,000円の経由売上にジャンル料率4.0%をかけて3,000円、さらにその30%(900円)がシステム利用料として上乗せされて3,900円になります。プラン表に書かれている「アフィリエイト経由売上の2.6〜5.2%」は、この上乗せ込みの数字です。
検証|自分の手計算が正しいかを確かめる
ここが読者自身で結果を確認できるポイントです。楽天市場の出店プランページには料金シミュレーションが埋め込まれています。自分の月商・客単価・ジャンルを入れて、上の手順で出した金額と突き合わせてください。
- 合格ライン:手計算と表示値の差が1円以内。楽天側の端数処理が1円単位で入るため、完全一致しないことがある
- 数千円ずれた場合①:PC20.5%/モバイル79.5%の比率を反映していない。システム利用料はPCとモバイルで料率が違う
- 数千円ずれた場合②:アフィリエイト報酬にかかる上乗せ手数料(報酬の15〜30%)を入れていない
- 数千円ずれた場合③:ポイント原資を月商そのままに1%かけている。実際は「売上の95%が楽天会員」という想定で計算される
- 月商が大きいほどずれる場合:システム利用料は売上帯で料率が段階的に変わる。レンジの最大値を固定で使っていると差が開く
Yahoo!ショッピングとAmazonにも公式のシミュレーターがあります。Yahoo!は出店案内ページ内、Amazonは料金ページから「料金シミュレーター」に進めます。Yahoo!で試すときは、表示されるのが2026年9月以降の新料金である点を意識してください。
損益分岐はどこにあるか
売上比で見る意味は、プランの乗り換え時期が数字で出ることにあります。
楽天が公式に示している「約178万円」
楽天市場は出店プランページで「月商が約178万を超えると、スタンダードプランが一番お得!」と明言しています。月額出店料は25,000円から65,000円に上がりますが、システム利用料率が下がるため(パソコン3.5〜6.5%→2.0〜4.0%、モバイル4.0〜7.0%→2.5〜4.5%)、ある月商から逆転します。
これを自分で再現しようとすると、面白いずれが出ます。固定費差は(65,000−25,000)+R-Messeの差2,000で42,000円。料率差はレンジの最大値で計算すると2.50%なので、42,000÷0.025=約168万円。公式の「約178万」と10万円ほど食い違います。原因はシステム利用料が売上帯ごとに刻まれていて、レンジの最大値を固定で使うと実態からずれることです。楽天の公式ページでは売上帯ごとの刻み表を確認できなかったため、正確な分岐点は公式シミュレーションで確かめてください。
BASEのプラン切り替え点を自分で出す
ASPでも同じことができます。BASEのスタンダードプランは決済手数料3.6%+サービス利用料3%=6.6%に1注文40円、グロースプランは月額16,580円(年払い)+2.9%。差は3.7%と40円/注文なので、次の式で分岐します。
月商 = 16,580 ÷(0.037 + 40 ÷ 客単価)
| 客単価 | グロースが安くなる月商(年払い) | 月払い16,580円→19,980円の場合 |
|---|---|---|
| 3,000円 | 約33万円 | 約40万円 |
| 5,000円 | 約37万円 | 約44万円 |
| 10,000円 | 約40万円 | 約49万円 |
この表は公式が示している数字ではなく、公式の料率から本記事が計算したものです。客単価が低いほど1注文40円の重みが増すため、分岐点が手前に来ます。同じ月商でも客単価が違えば答えが変わる、という費用構造がここに表れています。
金額に表れない差|集客費と顧客データ
ここまでの数字だけを見ると「ASPが4〜8%、モールが9〜18%なのだからASP一択」に見えます。これは誤読です。モールの売上比には集客が含まれています。楽天のシステム利用料もポイント原資もアフィリエイト報酬も、モールが客を連れてくることの対価です。
一方、自社ECの4〜8%は「客が来ている前提」の数字です。広告費・SEO・SNS運用・メール配信の費用はここに含まれていません。自社ECの実質コストは「4〜8%+集客に使う金額の売上比」で、集客費が売上の10%を超えるならモールのほうが安いという結論もありえます。比較するなら、この行を必ず自分で足してください。
金額に還元しにくい差もあります。自社ECではメールアドレスと購入履歴が自社に残り、再訪の導線を自分で設計できます。モールでは顧客はモールの会員であり、リピートの起点はモール側にあります。どちらを取るかは費用計算とは別軸の経営判断です。販路そのものの考え方は 経営から見たマーケティング|商品力と販路最適化 で扱っています。
状況別|どれを選ぶか
| 状況 | 向く選択 | 理由 |
|---|---|---|
| 集客の手段をまだ持っていない | モール出店 | 売上比は高いが、その中に集客が含まれている |
| 粗利率が30%を下回る商材 | ASPで自社EC | モールの売上比13〜18%が粗利をほぼ食い潰す |
| 注文件数が多く客単価が低い | 1注文あたりの固定手数料がないサービス | BASEの40円/注文のような費用が売上比で効く |
| 楽天で月商178万円を超えた | スタンダードプランへ切り替え | 楽天が公式に示している分岐点 |
| 独自の業務フローや基幹連携が必須 | パッケージまたはスクラッチ | 月額比較の土俵に乗らない。見積もりが前提 |
どのチャネルでも、決める順番は同じです。月商と客単価を置く → 売上比を出す → 粗利率と比べる。この3手だけで、月額料金の一覧表からは出てこない答えが出ます。
よくある質問
Q. モール出店と自社ECでは、結局どちらが安いですか?
月商と客単価で逆転するため一概には言えませんが、手数料だけを比べれば自社ECが安く、月商50万円・客単価3,000円の条件では楽天市場のがんばれ!プランが売上比17.8%、ASPは4〜8%です。ただしモールの数字には集客が含まれ、ASPの数字には含まれていないため、自社ECの広告費・SEO・SNS運用の費用を売上比に足したうえで比べる必要があります。
Q. ASPの「販売手数料0円」は、手数料がかからないという意味ですか?
違います。販売手数料と決済手数料は別物で、makeshopとカラーミーショップは販売手数料0円ですが、クレジットカード決済手数料は別途かかります(makeshopプレミアムは料金表で3.19%、カラーミーショップのレギュラーは3.4%から)。BASEのようにサービス利用料という第3の項目を持つサービスもあるため、月額・決済手数料・サービス利用料・1注文あたりの固定手数料の4つをすべて足して初めて比較できます。
Q. Yahoo!ショッピングは無料で出店できると聞きましたが、今もそうですか?
2026年8月までは初期費用・月額システム利用料・売上ロイヤリティがいずれも0円ですが、2026年9月から出店プランが刷新され、月額システム利用料10,000円(税抜)と売上ロイヤリティ2.5%が発生します。初期費用は9月以降も0円のままです。公式シミュレーションで月商50万円・ファッションを試算すると費用総額は44,750円(売上の9.0%)と表示されます。
Q. EC-CUBEはオープンソースなので無料で使えますか?
EC-CUBEは無償のGPLライセンスと有償の商用ライセンスから選べるデュアルライセンス方式で、GPLを選べばソフト自体は無償ですが「オープンソースだから全部無料」ではありません。サーバー費用、テーマやプラグインの制作費、公開後の保守と脆弱性対応は自社の負担になり、この保守コストを月額に換算するとASPより高くつくケースがあります。
Q. 各社の料金を比べるとき、税込と税抜のどちらにそろえればいいですか?
どちらでも構いませんが、必ず片方にそろえてください。楽天市場・Yahoo!ショッピング・Amazonは税別(税抜)表記、makeshopとカラーミーショップとBASEは税込表記、Shopifyの日本語料金ページには税の扱いが書かれていません(2026年8月2日時点)。表記が混ざったまま並べると1割の差が生まれ、プラン選択の判断が変わってしまいます。
Q. 途中でモールからASPへ乗り換えると、費用はどうなりますか?
初期費用が再び発生する点と、長期契約の扱いに注意してください。楽天市場は初期登録費用60,000円(税別)で契約期間は1年、makeshopの長期契約割引は一括払いで、公式に「ご利用料金お支払い後のご返金はいかなる理由においてもお受けいたしかねます」と明記されています。カラーミーショップの契約期間は3・6・12か月から、BASEのグロースプランは1か月か12か月から選べるため、乗り換えの可能性があるなら契約期間を短く取るほうが総額を抑えられます。
まとめ
- ECサイトの費用は初期費用・月額固定費・変動費の3層。月額だけの比較表では答えが出ない
- 月商50万円・客単価3,000円なら、楽天がんばれ!プラン17.8%、Amazon大口13.4%、Yahoo!(2026年9月から)9.0%、ASPは4〜8%
- 「モール手数料10〜15%」は小規模では成立しない。公式シミュレーションの実測値で判断する
- 月額0円のBASEが最安とは限らない。サービス利用料3%と1注文40円が乗る
- ASPの数字には集客費が含まれていない。モールと比べるなら広告費の売上比を足す
- フルスクラッチとオープンソースは相場の一次ソースが無い。見積もりで確定させる
- 合否ラインは「売上比が粗利率を超えていないか」。超えていれば売るほど赤字になる
本記事に掲載した金額はすべて2026年8月2日に各社の公式ページから取得したものです。料金体系は改定されます。特にYahoo!ショッピングは2026年9月に、LINEショッピングタブの経由料金は2027年1月に変わります。導入を決める前に、必ず公式ページで最新の数字を確認してください。
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FORCE-R株式会社

