自社サイトにLINEのロゴやアイコンを掲載し、LINE公式アカウントへリンクするだけであれば、LINEヤフーへの事前承諾(申請)は不要です。ただしガイドラインの遵守が条件で、そこに多くの制作現場が見落としている落とし穴があります。
その代表格が「友だち追加ボタン」です。ボタン画像をダウンロードしてサイトに貼り、LINEのURLへリンクする——実務で最もよく見る実装ですが、これはLINE公式ガイドラインが明確に禁止している方法です。
やっかいなのは、LINEのロゴ規約が5つの公式文書に分散していることです。1ページだけを読んでも正しい結論にたどり着けない構造になっており、そのせいで誤った解説が広く出回っています。この記事では、公式一次情報だけを根拠に、Web制作の実務で必要な判断基準を整理します。
結論|サイトにLINEロゴを置くだけなら申請は不要
最初に判断基準を示します。LINEヤフーの商標・ブランドの使用に関するガイドラインには、原則としてブランド資産の無断使用は禁止としつつ、次の例外が明記されています。
以下のロゴ・アイコンに関しましては該当するガイドラインを遵守の上であれば事前承諾は不要になります。
LINEヤフー株式会社「LINEヤフーの商標・ブランドの使用に関するガイドライン」
事前承諾が不要と名指しされているのは、「LINE」のサービスアイコン、「LINE公式アカウント」のサービスロゴ、「LINEミニアプリ」のサービスロゴ、「LINEポイント」のサービスロゴ、そしてYahoo! JAPAN IDログインボタンです。つまりWeb制作でフッターにLINEアイコンを置く用途は、申請不要の範囲に入っています。
ただしこれは「何をしてもいい」という意味ではありません。「該当するガイドラインを遵守の上であれば」という条件付きです。そしてそのガイドラインが、次章で見るとおり複数の文書に散らばっています。
LINEのロゴ規約は5つの公式文書に分散している
LINEのロゴ規約に「これ1本を読めば済む文書」は存在しません。用途ごとに参照すべき文書が違い、しかもそれぞれ運営ドメインが異なります。まずこの地図を持っておくと、判断を誤りません。
| 文書 | 何が書いてあるか | 最終改定 |
|---|---|---|
| LINE APP ICON GUIDELINE | アプリアイコンの配布と基本ルール・最小サイズ | 2021年5月27日 |
| 広告・販促・告知物等におけるLINE関連素材使用についてのガイドライン(PDF) | 最も重要。禁止事項・改変の判断基準・申請要否・表記ルール | 2024年12月11日 |
| ロゴガイドライン(LINEヤフー for Business) | 各サービスロゴの配布 | 記載なし |
| 商標・ブランドの使用に関するガイドライン | 事前承諾の要否・商標帰属の表記義務 | 記載なし |
| LINE Social Plugins利用ガイドライン | 友だち追加ボタンの実装ルール・違反時の措置 | 2024年2月1日 |
実務で最も参照すべきは2つ目のPDFです。全47ページとボリュームがありますが、Web制作でやりがちなNGはほぼここに書かれています。「広告・販促」という名前から自社サイトには無関係だと思われがちですが、企業サイトでの告知も適用範囲に含まれます。
なお注意点として、この公式PDF自体が古いURLを案内しています。PDF内ではソーシャルプラグインの取得先が media.line.me と記載されていますが、現在は developers.line.biz へ移転済みです(リダイレクトで到達はできます)。旧URLを載せたままの解説記事も多いため、実装時は移転後のURLを参照してください。
友だち追加ボタンを「画像」で貼るのは規約違反
この記事で最も伝えたい項目です。友だち追加ボタンを画像として設置することは、公式ガイドラインで明確に禁止されています。
ソーシャルプラグイン/ログインボタンは、紙媒体では使用できません。Webサイト、Webページであっても、画像として掲載することはできません。利用規約に同意の上、コードをサイト内に記述する方法でボタン機能を実装し、適切なページへ遷移できるようにしていただきますようお願いいたします。
LINEヤフー株式会社「広告・販促・告知物等におけるLINE関連素材使用についてのガイドライン」(2024年12月改定)
「友だち追加ボタンの画像をダウンロードして <img> で貼り、<a> でLINEのURLへリンクする」という実装は、この条文にまっすぐ抵触します。制作現場で広く行われている方法ですが、公式が想定している設置方法ではありません。
正しい設置方法は「コードで実装する」
公式が提供しているのはLINE Social Pluginsという仕組みです。「LINEで送る」「友だち追加」「いいね」の3種類のボタンが用意されており、LINE Developers でボタン生成用のコードを取得して設置します。画像ではなく、このコードを使うのが規約上の正解です。
また、ボタン設置には同意の成立タイミングについての規定もあります。利用ガイドラインには、設置した時点でガイドラインに同意したものとみなす旨が書かれています(原文は英語。日本語版が法的に優先します)。
By installing the LINE Social Plugin Button on an External Site, the Installer is deemed to have agreed to the Guidelines.
LINEヤフー株式会社「LINE Social Plugins利用ガイドライン」(2024年2月1日改定)
(=設置者が外部サイトにLINE Social Pluginボタンを設置した時点で、本ガイドラインに同意したものとみなされます。訳は筆者による)
ボタン設置時に守るべき3つの制約
- 専用アイコンを使う|公式が定めた専用アイコンの使用が義務。ただしLINEヤフーが指定するテキスト表記での代替は認められています。
- 専用アイコンを改変しない|いかなる方法でも改変してはならないと明記されています。
- 類似アイコンを併置しない|ボタンを設置したページ上に、専用アイコンと類似したロゴやアイコンを表示することは禁止されています。自作のLINE風アイコンを別の場所に置く、といった実装はここに抵触します。
さらに「サイトのデザインがボタンの可読性を妨げる場合は設置してはならない」という規定もあります。背景に埋もれてボタンが読み取りにくいデザインは、それ自体が違反になり得るということです。
事前確認が必須なのは3つのケースだけ
「申請が必要かどうか」で迷ったときの線引きです。ガイドラインPDFは、LINEヤフーによる事前確認が必須となるケースを3つに限定して列挙しています。
| 用途 | 事前確認 |
|---|---|
| プレスリリース | 必須 |
| 動画素材(TVCM・オンライン配信を問わずすべて) | 必須 |
| LINEポイントの訴求があるもの | 必須 |
| 自社サイトのフッターにLINEアイコンを設置し、公式アカウントへリンク | 不要 |
| ガイドラインに記載のない用途 | 個別判断(要問い合わせ) |
事前確認が必要な場合、回答は3〜5営業日以内に戻るとPDFに明記されています。スケジュールを引くときの目安になります。
注意したいのは「記載のない用途」の扱いです。ガイドラインには、記載のない用途を無断で使用し、LINEヤフーが不適切と判断した場合、掲載後に修正対応を依頼される可能性があると書かれています。判断に迷う使い方をするなら、公開前に問い合わせておくほうが安全です。
Web制作でやりがちなアイコンのNG改変
LINEアプリアイコンのガイドラインは、改変を原則として禁止しています。「変形せず、そのまま使う」が大原則です。
全てのロゴデータは、データを変形・加工せず、そのまま使用することを原則とします。アニメーションや効果(拡大、回転、装飾など)をつけることも禁止しております。
LINE「LINE APP ICON GUIDELINE」
公式が禁止事項として明示しているのは次のとおりです。
- 変形(長体・平体・斜体・回転)
- 間隔の変更/書体の変更
- 色の変更
- 装飾(影・縁取り・立体表示)
- アイソレーション(余白)内への他要素の表示
- 視認性を低下させる背景の使用
- 文中での使用
SNSアイコンをグレーで統一するデザインは違反にあたる
フッターのSNSアイコンを、サイトのトーンに合わせて全部グレーやモノトーンで統一する——デザイン上よくある処理ですが、LINEアイコンに関しては「色の変更」が明確に禁止されているため、ガイドライン違反にあたります。
色の反転や、吹き出し部分だけを取り出した使用も認められていません。モノクロ印刷が必要な場合は、通常のアイコンを使ったうえでモノクロ印刷を行うよう指定されています。
縁取り・枠・背景色の変更も「改変」と判断される
これは特に見落とされやすいポイントです。LINEアイコンは緑一色なので、緑系や白背景のサイトに置くと背景と同化して見えにくくなります。そこで「縁取りをつける」「枠で囲む」「アイコンの周りだけ背景色を変える」という処理をしたくなりますが、ガイドラインはこの3つをすべてアイコンそのものの改変と判断し、使用を許諾しないと明記しています。
背景と区別するために、LINEアプリアイコンの周りを縁取るようなデザインは、LINEアプリアイコンそのものの改変と判断し使用を許諾しません。
LINEヤフー株式会社「広告・販促・告知物等におけるLINE関連素材使用についてのガイドライン」
ではどうすればいいのか。公式は対処法まで示しています。「アプリアイコンに枠を付けるのではなく、背景色とのコントラストを用いて視認性を担保してください」。つまりアイコン側をいじるのではなく、背景側を調整するのが正解です。
アイソレーション(余白)と最小サイズ
アイコンの周囲には一定の余白(アイソレーションゾーン)を確保する必要があります。基準はアプリアイコンの「1辺の長さ×0.5」を1Xとし、周囲に1Xより大きな余白を取ること。フッターにSNSアイコンを詰めて並べるとこの余白を割りやすいので注意してください。
最小サイズについては公式文書間で数値が食い違っています。断定している解説記事も見かけますが、実際には参照する文書によって答えが変わります。
| 文書 | 最小サイズの記載 |
|---|---|
| LINE APP ICON GUIDELINE(2021年改定) | モバイル 40px / PC 20px / 印刷 10mm |
| 広告・販促ガイドライン(2024年改定) | 20px あるいは 7mm |
実務上は厳しいほう(大きいほう)に合わせるのが安全です。スマホ表示を含むWebサイトなら、40px以上を確保しておけばどちらの基準も満たせます。
商標帰属の表記が必要になる
意外と抜けやすいのがこれです。LINEヤフーのブランド資産を使用する場合、商標が同社に帰属する旨を記載する必要があります。しかも公式が文例まで提示しているので、そのまま使えます。
LINE、LINEのロゴは、LINEヤフー株式会社の登録商標または商標です。
LINEヤフー株式会社が提示する記載文例
会社名をテキストで表記するだけなら不要ですが、ロゴやアイコンを使うなら記載が必要です。掲載スペースの都合で書ききれない場合は、サイト内に商標表記用のページを設け、公式ガイドラインへリンクする対応でも構わないとされています。フッターの著作権表記の近くにまとめておくのが実装しやすいでしょう。
LINE公式アカウントの認証バッジは2026年4月に変わった
ここは情報の鮮度が重要な項目です。LINE公式アカウントの認証バッジは、2026年4月1日に刷新されました。以前の解説記事はほぼすべて旧仕様のままなので、古い情報を参照しないよう注意してください。
| 2026年3月まで | 2026年4月以降 | |
|---|---|---|
| 認証済アカウント | ネイビーの星型盾マーク | 緑のチェックマークに一本化 |
| プレミアムアカウント | グリーンの星型盾マーク | |
| 未認証アカウント | グレーの星型盾マーク | バッジ廃止 |
LINEヤフーの2026年4月1日付プレスリリースによれば、未認証アカウントのバッジおよびプレミアムアカウントという表現が廃止され、表示が整理されました。サイトやLPで認証バッジの画像を使っている場合は、差し替えの検討が必要です。
「LINE Green Badge」は別物なので混同しない
検索していると「LINE Green Badge」という名前に行き当たりますが、これはWebサイトに貼るバッジ素材ではありません。LINE公式アカウントに関するLINEヤフーの認定資格制度、つまり人が取得する資格の名称です(受講は無料、オンラインで完結)。
名前が似ているため、認証バッジと取り違えている解説をときどき見かけます。サイトに掲載するバッジの話をしているなら、参照すべきは「認証バッジ」のほうです。
「公式LINEアカウント」は誤り|表記ルール
ロゴだけでなく、テキストの書き方にも公式ルールがあります。ライティングやボタンラベルの設計に直結するので、制作側が押さえておくべき部分です。
| NG | 正しい表記 |
|---|---|
| 公式LINEアカウント/公式LINE | LINE公式アカウント |
| 友達/お友達/友だち登録 | 友だち/友だち追加 |
| LINEで予約/LINEで応募/LINEキャンペーン | LINEから予約/LINEを使って応募 |
「LINEで予約」がNGなのは意外に感じるかもしれません。理由は、「LINE◯◯」「◯◯LINE」のように1単語として読める表記は、LINEのファミリーサービスだとユーザーが誤認する可能性があるためです。
ただし重要な例外があります。この制限が効くのはサービス名称やキャッチコピーとして使う場合であり、公式は「通常の文章の中で『LINEの◯◯』『LINEで◯◯』と表現される場合の制約はございません」と明記しています。つまりボタンのラベルや見出しは要注意、本文中の自然な言い回しはOKという切り分けです。
もうひとつ、「LINE」の部分だけをフォントカラーやサイズで強調するのも禁止です。「LINE公式アカウント」のように一部だけ色を変えるデザインは、サービス名をひとかたまりとして扱うルールに反します。
違反するとどうなるか
実際にどんな措置がありうるのか、公式に書かれている範囲で整理します。「即アカウント停止」といった煽り方をしている記事もありますが、条文はもう少し慎重な書き方です。
| 該当する規約 | 公式に書かれている措置 |
|---|---|
| LINE Social Plugins利用ガイドライン | ボタンの利用停止など、必要かつ適切と判断する措置。違反により損害が生じた場合の補償請求も規定 |
| LINE公式アカウントガイドライン | 当該コンテンツの削除/サービスの提供停止/契約の解除 |
| 商標・ブランド使用ガイドライン | 事前承諾が不要なケースであっても、不適切と判断されれば使用の中止を求められる |
条文は「措置を講じることがある」という裁量的な表現であり、違反したら必ず停止される、と断定されているわけではありません。とはいえ、クライアントワークで納品したサイトが規約違反を指摘されれば、修正コストも信用の毀損も制作側に返ってきます。事前に潰しておくべきリスクです。
公式に記載がなく、断定できないこと
規約の記事で最も不誠実なのは、書いていないことを書いてあるかのように断定することです。今回、公式文書を確認した範囲で明文が見つからなかった項目を、正直に列挙しておきます。
- アイコンを角丸に変更してよいか|直接の条文はありません。ただし「変形」「装飾」が禁止列挙されているため、改変にあたると解釈するのが妥当です(=解釈であり、明文ではない)。
- LINE公式アカウントへのテキストリンクだけを置く場合|事前承諾不要と明記されているのは「ロゴ・アイコンの使用」についてです。テキストリンクのみのケースを名指しした条文は確認できませんでした。
- 他SNSアイコンと並べる際の統一デザイン|横並びレイアウト自体を禁じた条文はありません。ただし「色の変更」は明確な禁止事項なので、モノトーン統一は違反にあたります。
また、Social Pluginsガイドラインは英語版と日本語版が併存し、法的には日本語版が優先すると定めています。英語圏の解説を根拠に判断しないよう注意してください。
実装前チェックリスト
納品前に、この6項目を確認してください。
- 友だち追加ボタンを画像で貼っていないか(コードで実装しているか)
- アイコンの色を変えていないか(グレー統一・モノトーン化は違反)
- 縁取り・枠・背景色の変更で視認性を確保していないか(背景側で調整する)
- アイコン周囲に「1辺×0.5」より大きい余白があるか
- 商標帰属の表記がサイト内にあるか
- 「公式LINEアカウント」「友達」などの誤表記が残っていないか
YouTubeやX、Instagramのロゴも同じサイトに並べているなら、SNSロゴをホームページに掲載する前に必ず確認すべきことで各プラットフォームの違いを確認しておくと安全です。ルールはSNSごとにまったく違います。
よくある質問
Q. サイトのフッターにLINEアイコンを置くだけでも申請が必要ですか?
不要です。LINEヤフーの商標・ブランドの使用に関するガイドラインで、「LINE」のサービスアイコンと「LINE公式アカウント」のサービスロゴは、該当するガイドラインを遵守する限り事前承諾は不要と明記されています。ただし商標帰属の表記は必要です。
Q. 友だち追加ボタンの画像をダウンロードして貼るのはダメなのですか?
ダメです。公式ガイドラインに「Webサイト、Webページであっても、画像として掲載することはできません」と明記されています。LINE Social Pluginsのコードを使ってボタン機能として実装する必要があります。実務で広く行われている実装ですが、規約上は認められていません。
Q. サイトのデザインに合わせてLINEアイコンをグレーにしてもいいですか?
できません。LINEアプリアイコンのガイドラインで「色の変更」が禁止事項として明示されています。フッターのSNSアイコンをモノトーンで統一するデザインは、LINEに関してはガイドライン違反にあたります。
Q. 白背景でアイコンが見えにくいので、枠線をつけてもいいですか?
つけられません。縁取り・枠囲み・アイコン周囲の背景色変更は、いずれもアイコンそのものの改変と判断され使用を許諾しないと明記されています。公式は「背景色とのコントラストを用いて視認性を担保してください」と対処法を示しているため、アイコンではなく背景側を調整してください。
Q. 「公式LINE」という書き方はなぜNGなのですか?
正式名称が「LINE公式アカウント」だからです。ガイドラインではサービス名称をひとかたまりの単語として扱うよう求めており、語順を入れ替えた「公式LINEアカウント」や省略形の「公式LINE」は誤表記になります。「友達」も誤りで、正しくは「友だち」です。
Q. LINE Green Badgeをサイトに掲載できますか?
LINE Green Badgeはサイトに掲載するバッジ素材ではなく、LINE公式アカウントに関するLINEヤフーの認定資格制度の名称です。人が取得する資格であり、Webサイトに貼る画像ではありません。サイトに表示されるバッジの話であれば、2026年4月1日に刷新された「認証バッジ」を指している可能性が高いです。
まとめ
LINEロゴの使用は、ガイドラインを守る限り申請不要です。難しいのは申請の可否ではなく、規約が5つの文書に分散していて全体像が見えないことにあります。
特に押さえるべきは3点です。友だち追加ボタンは画像ではなくコードで実装すること、アイコンの色を変えないこと(グレー統一は違反)、視認性は縁取りではなく背景側で確保すること。この3つは制作現場で頻繁に破られており、しかも公式に明文があります。
クライアントワークでは、規約違反の指摘が来たときに困るのは制作した側です。納品前チェックリストとして本記事を使ってください。
※本記事は2026年7月時点の公式ガイドラインに基づいています。各社のブランドガイドラインは改訂されるため、実装前に必ず公式の最新版を確認してください。
