After Effects導入前チェック|必要スペック・料金・最初に作る1本


After Effectsとは、映像にモーショングラフィックスと視覚効果(VFX)を加えるためのAdobeのコンポジットソフトです。カット・テロップ・色調整といった「並べる編集」はPremiere Proの担当で、After Effectsは1カットの中身そのものを作り込むためのソフトだと考えると、両者の境界を間違えずに済みます。

ただし、After Effectsで実際に困るのは「何ができるか」ではありません。自分のPCで実用的に動くのか、月いくらかかるのか、最初に何を作れば覚えたと言えるのか——この3つが決まらないまま体験版を入れて、プレビューがカクついた時点で止まってしまうケースがほとんどです。

この記事は、その3つを読者が自分の環境で判定できる形にまとめた導入前チェックです。掲載した金額と必要システム構成は、すべて2026年8月2日にAdobe公式ページから取得しました。動作環境の判定に使うコマンドは、macOS 26.5.2/Apple M3の実機で実際に実行し、出力を確認したものだけを載せています。

Adobe Creative CloudAfter Effects導入前チェック|必要スペック・料金・最初に作る1本

30秒で判定:Premiere Proで足りるか、After Effectsが要るか

最初に決めるのは「買うかどうか」ではなく「そもそも要るかどうか」です。Adobe公式のFAQは両者の関係をこう書いています。「Premiereはビデオ編集に最適な製品、After Effectsはモーショングラフィックスとビジュアルエフェクト用の製品です」(After Effectsプラン比較ページのFAQ・2026年8月2日取得)。つまり、どちらが上位という関係ではなく、担当する工程が違います。

作りたいものを次の表に当てはめると、判定は30秒で終わります。

やりたいこと適したソフト理由
撮影素材を並べて不要な部分を切るPremiere Proタイムライン上の編集作業。尺の管理が主目的
テロップを入れる、色を整えるPremiere Proクリップ単位の処理で完結する
ロゴを動かす、文字が組み上がる演出を作るAfter Effects1カットの中身をキーフレームで組み立てる
グリーンバックの背景を差し替えるAfter Effectsキーイングと合成が本来の守備範囲
3D空間にテキストやモデルを配置するAfter Effects3Dレンダラーとカメラを持っている
映像に映り込んだ不要物を消すAfter Effectsマスクトラッキングと除去機能を持っている

表の上半分しか当てはまらないなら、After Effectsは今は不要です。逆に下半分が1つでもあるなら、Premiere Proのエフェクトで代用しようとするより、After Effectsを覚えたほうが結果的に早くなります。公式FAQも「一般的なワークフローでは、Premiereでビデオプロジェクトを開始し、After Effectsを使用してビジュアルエフェクトやモーショングラフィックスをそれに追加します」と、併用を前提とした流れを示しています。

なお、動かしたい対象が映像ではなくWebサイトやバナーであれば、そもそも映像ソフトの出番ではありません。静止画とWeb側のツール選びは Canva・Figma・STUDIOの使い分け で整理しています。「Web上の動き」と「映像の中の動き」は別のスキルなので、ここを混同したまま高い方を買うと確実に無駄になります。


自分のPCで動くかを、公式の必要システム構成と突き合わせて判定する

「高スペックPCが推奨」という説明はよく見かけますが、これでは何も判定できません。Adobeは最小と推奨を数値で公開しています。以下はAfter Effects 26.3(2026年6月)/26.2.1/26.2/26.0に適用される値で、出典はAdobeヘルプの「After Effects の必要システム構成」(ページ内の最終更新日 2026年6月17日・2026年8月2日取得)です。

Windows版の最小と推奨

項目最小推奨
プロセッサーIntel 第6世代以降、または AMD Ryzen 1000シリーズ以降。AVX2サポートが必須Quick Sync搭載のIntel 第11世代以降、または AMD Ryzen 3000シリーズ以降
OSWindows 11 v24H2Windows 11 v24H2 以降
メモリ16GBのRAMHDメディアは16GB、4K以上は32GB以上
GPUNVIDIAはMaxwell世代以降でGPUメモリ4GB以上。IntelとAMDはOpenCL対応のディスクリートGPUでGPUメモリ4GB以上GPUメモリ8GB
ストレージ空き8GB以上。取り外し可能なフラッシュメモリ上には不可。メディア用に別の高速ドライブアプリとキャッシュ用の内蔵高速SSD。メディア用に別の高速ドライブ
ディスプレイ1440×9001920×1080以上

見落とされやすい点が3つあります。ひとつめはWindows 10が最小要件から外れていること。ふたつめはAVX2のサポートが必須で、CPUが古いと世代だけ満たしていても動かない可能性があること。みっつめはリリース25.6以降でOpenCL 2.0が必須になり、OpenCL 1.2以前のサポートが廃止されたことです。数年前のIntel内蔵GPU機はここで落ちます。ARM版Windowsについては、Qualcomm Snapdragon Xシリーズが対象で、OSビルドは26100.2033、Adreno GPUドライバーは31.0.121.1以降が条件です。

macOS版の最小と推奨

項目最小推奨
プロセッサーIntel 第6世代以降。AVX2サポートが必須Apple シリコン M1 Pro、M1 Max、M1 Ultra 以降
OSmacOS Sonoma(バージョン14)macOS Sonoma(バージョン14)以降
メモリ16GBのRAMApple シリコンは16GBの統合メモリ
GPUApple シリコンは16GBのRAM。ディスクリートAMD GPU搭載のIntel Macは4GBのGPUメモリApple シリコンは16GBの統合メモリ
ストレージ空き8GB以上。取り外し可能なフラッシュメモリ上には不可。メディア用に別の高速ドライブアプリとキャッシュ用の内蔵高速SSD。メディア用に別の高速ドライブ
ディスプレイ1440×9001920×1080以上

ここで公式の書き方に穴があることを正直に書いておきます。macOSの最小欄のプロセッサーは「Intel 第6世代以降」しか書かれておらず、推奨欄は「Apple シリコン M1 Pro、M1 Max、M1 Ultra 以降」です。素のM1、M2、M3、M4は最小欄にも推奨欄にも名前がありません。したがって「M1以降なら大丈夫」と断定できる根拠は公式ページ上に存在しません。無印のMシリーズを使っているなら、後述の無料体験で自分の素材を実際に流して判断するのが唯一の確実な方法です。

自分のマシンの値を取る(macOS・実行して出力を確認済み)

表と突き合わせる自分側の数字は、ターミナルで6つのコマンドを打てば全部そろいます。以下は本記事の執筆時にmacOS 26.5.2/Apple M3の実機で実行し、出力を確認したものです。

# OSのバージョン(最小はmacOS 14)
sw_vers

# Apple シリコンかIntelか
uname -m

# CPUまたはチップの名前
sysctl -n machdep.cpu.brand_string

# 搭載メモリをGBで表示(最小は16)
echo "$(( $(sysctl -n hw.memsize) / 1024 / 1024 / 1024 )) GB"

# GPUとディスプレイ解像度(最小は1440x900)
system_profiler SPDisplaysDataType

# 起動ディスクの空き容量(最小は8GB)
df -h /

実際の出力は次のようになります。上から順に、OSは26.5.2で最小の14以上、アーキテクチャはarm64、チップはApple M3、メモリは24GBで最小の16GB以上、という具合に1行ずつ合否が確定していきます

ProductName:    macOS
ProductVersion: 26.5.2
BuildVersion:   25F84

arm64

Apple M3

24 GB

Chipset Model: Apple M3
Type: GPU
Total Number of Cores: 10
Metal Support: Metal 4

ディスプレイ解像度は同じ system_profiler SPDisplaysDataType の出力の「Displays」以下に表示されます。ここで最小の1440×900を下回っていなければ、ディスプレイ項目は合格です。

AVX2の確認はIntel Macだけ。Apple シリコンでは必ずエラーになる

必要システム構成にある「AVX2サポートが必須」は、macOSではIntel Macにだけ関係する条件です。確認コマンドは次のとおりですが、これをApple シリコンで実行すると必ずエラーになります

# Intel Macのみ。出力にAVX2が含まれていれば条件を満たす
sysctl -n machdep.cpu.leaf7_features

# Apple シリコンでの実行結果(このOIDは存在しない)
# sysctl: unknown oid 'machdep.cpu.leaf7_features'

このエラーは異常ではなく正常です。Apple シリコンはx86の命令セット拡張であるAVX2を持たないため、そもそも参照先の項目が存在しません。uname -m の出力が arm64 だった人は、AVX2の判定そのものが不要だと理解してください。ここでエラーを見て「要件を満たしていない」と誤解し、導入をやめてしまうのがいちばんもったいない外し方です。

Windowsで値を取る場合(本記事では未検証)

正直に書きます。本記事の検証環境はmacOSのみで、Windows側の画面と出力は確認していません。そのため出力例は載せず、Windows標準機能のどこを見るかだけを示します。値の正しさは必ずAdobe公式の必要システム構成と自分の画面で突き合わせてください。

  1. OSのバージョンとエディション、搭載メモリ、CPU名は「設定」の「システム」にある「バージョン情報」にまとまっています
  2. OSのビルド番号だけを素早く見たい場合は、ファイル名を指定して実行から winver を起動します
  3. GPUの名前と表示メモリ(VRAM)は DirectX 診断ツール(dxdiag)の「ディスプレイ」タブに出ます
  4. ディスプレイ解像度は「設定」の「システム」にある「ディスプレイ」で確認できます
  5. AVX2に対応しているかはCPUの型番からIntelまたはAMDの製品仕様ページで確認するのが確実です

合否ラインと、外れたときの分岐

ここまでで取った値を、次の基準に当てはめます。外れた項目ごとに打ち手が違うので、まとめて「スペック不足」と片づけないでください。

判定次にやること
6項目すべて最小以上導入して問題ない。ただし4K素材を扱うならメモリは推奨側の32GB以上を見る
OSだけ足りないOSを上げれば解決する。ハードの買い替えは不要
Windows 10のまま26.xの最小要件から外れている。OSの更新が先
メモリまたはGPUが足りない買う前に無料体験で自分の素材を実際に流して確かめる
Intel MacでAVX2が無い要件を満たさない。買い替えの検討に入る
無印のMシリーズで判断がつかない公式に明示が無いため断定できない。無料体験での実測が唯一の判断材料

Apple シリコンのMacを使う場合、もうひとつ確認すべき点があります。Adobeヘルプ「Apple シリコン対応の After Effects」(最終更新日 2026年3月27日・2026年8月2日取得)によると、バージョン24.0以降、Adobeのビデオおよびオーディオ製品はRosettaエミュレーションをサポートしなくなりました。あわせて、Apple シリコン向けに移植されていないサードパーティ製プラグインは使用できなくなり、起動時に警告ダイアログで一覧表示されます。GoPro Cineformコーデックの読み込みと書き出しもサポート対象外です。手持ちのプラグイン資産がある人は、ここを先に確認しないと移行してから詰みます

判定の結果、買い替えが視野に入ったなら、価格の落とし方を先に調べておくと総額が変わります。学割・整備済製品・セールの実売比較は MacBookを安く買う方法の実売価格比較 にまとめています。


プレビューが重いときに見る順序

After Effectsの評判で必ず出てくるのが「プレビューが重い」です。まず用語を整えると、正しくはリアルタイムプレビューで、タイムラインの内容をその場でメモリにレンダリングしながら再生する仕組みを指します。そしてこの前提は26.0で一度変わりました。26.0でロスレス圧縮再生が入り、画質を損なわずに大幅に少ないディスク容量でタイムラインのより長いセグメントをプレビューできるようになっています(出典はAdobeヘルプ「After Effects の新機能」・ページ内の最終更新日 2026年6月17日・2026年8月2日取得)。

そのうえで、重いと感じたときは次の順序で切り分けると原因にたどり着きます。いきなりPCを買い替える判断に飛ばないための順序です。

  1. プレビューの解像度を下げる。フル画質のまま作り込む必要がある場面は最終確認だけ
  2. メモリが最小の16GBぎりぎりかを確認する。4K素材なら公式の推奨は32GB以上で、ここが最頻の原因
  3. GPUが効いているかを確認する。プロジェクト設定のビデオレンダリングとエフェクトで、GPU高速処理の対象エフェクトを表示できる
  4. GPUドライバーを更新する。AdobeはNVIDIA向けにStudioドライバーを推奨し、Intelドライバーは27.20.100.8476以降を要求している
  5. メディアを起動ディスクと別の高速ドライブに置く。公式が最小構成の時点で別ドライブを求めている

GPUについては、Adobeヘルプ「After Effects の GPU および GPU ドライバーの要件」(最終更新日 2026年3月27日・2026年8月2日取得)に重要な但し書きがあります。「After Effects チームは個々の GPU チップセットを認定または推奨していません」。つまり「このGPUなら安心」という公式のお墨付きは存在しません。同ページは代わりに「予算とシステムニーズを満たす、パフォーマンスの高いカードを選択する」「Premiereに推奨されるGPUのリストが選定の出発点として適している」という考え方を示しています。特定の型番を推す情報を見かけたら、それはAdobeの公式見解ではありません

切り分けの合否ラインはシンプルです。プレビュー解像度を下げて滑らかに再生できるなら、原因はスペックではなく設定です。解像度を下げても改善しない場合に初めて、メモリとGPUとドライバーを疑う段階に進みます。


費用の判定:単体プランとCreative Cloud Proのどちらか

先に用語の訂正をひとつ。「Creative Cloud コンプリートプラン」という名称は現行のAdobe公式ページには存在しません。全アプリが使えるプランはCreative Cloud Proに変わっています(2026年8月2日にAfter Effectsプラン比較ページで確認)。古い記事の名前で検索して見つからないのはこのためです。

以下の金額はすべて年間プラン(月々払い)の場合の値です。Adobeは同じプランに複数の支払い方式を用意しているため、方式を書かずに金額だけ比べると必ず食い違います

プラン月額(税込)条件と中身
After Effects 単体プラン3,280円年間プラン(月々払い)。Adobe Expressプレミアムプランが含まれる
Creative Cloud Pro(個人)9,080円年間プラン(月々払い)。20以上のアプリが使える通常価格
Creative Cloud Pro(新規特価)4,539円最初の3か月のみ50%OFF。新規かつ年間プラン月々払いのみ適用
Creative Cloud Pro(グループ版)11,990円1ライセンスあたり。ビジネス利用向け

判定の目安は単純な引き算です。After Effects以外に使うAdobeアプリが2つ以上あるならCreative Cloud Proが有利、After Effectsだけなら単体プランになります。なお単体プランにもAdobe Expressプレミアムプランが含まれるため、簡単なバナーや静止画の書き出しは単体プランのままでも回ります。Adobe Expressで何ができるかは CanvaとAdobe Expressの違い で扱っています。

学生・教職員版は公式内で表記が食い違っている

ここは片方だけ読むと確実に損をするポイントです。Adobeの学生・教職員向けページ(2026年8月2日取得)は、Creative Cloud Proの学生価格を次の階段で案内しています。

期間月額(税込)備考
最初の3ヵ月980円通常9,080円から89%OFF
4か月目以降2,180円初年度の実質価格はここ
2年目以降4,180円ここが最終的な継続価格

一方で、After Effectsプラン比較ページのFAQは学生価格を「初年度 2,180円/月(税込)」とだけ書いており、980円の3ヵ月特価に触れていません(どちらも2026年8月2日取得)。同じAdobe公式の中で粒度が違うわけです。実務上の読み方は「入口の3ヵ月は980円、初年度の大半は2,180円、2年目からは4,180円」で、判断は2年目以降の4,180円を基準にするのが安全です。3ヵ月の特価だけを見て年額を見積もると、2年目に見込みの4倍以上になります。

買い切りは無い。無料体験は7日間で、終わると自動課金される

買い切り版を探している人向けにはっきり書きます。Adobe公式FAQは「After EffectsはCreative Cloudのサブスクリプション(月々プランまたは年間プラン)でのみご利用いただけます」と明記しています(2026年8月2日取得)。買い切りのパッケージ版は存在しません

無料体験については、同じFAQに「7日間の無料体験が終了すると自動的に有料のCreative Cloudメンバーシップに移行します。無料体験期間中はいつでも解約可能です」とあります。ここを知らずに試すと、動作確認だけのつもりが課金に入ります。体験を始めた日をカレンダーに入れ、判定が終わったらその場で継続か解約かを決めるのが安全な使い方です。体験版は最新版とベータ版のすべての機能が使えるため、前章で保留にした「自分のマシンで実用になるか」の実測にはこれで足ります。

まだ費用をかけたくない段階なら、無料で学べる場所から入る選択もあります。Adobe公式が運営する無料スクールは Adobe Creative Collegeの独学ガイド で解説しています。「無料で学ぶ場所」と「有料ツールを入れる判定」は別の話なので、いま自分がどちらの段階にいるかで読み分けてください。

After Effectsの7日間無料体験(Adobe公式)


現行版(26.x)でできること

After Effectsの紹介記事は「モーショングラフィックス・エフェクト・合成・3D」の4項目で止まっているものが多く、これは数年前の姿です。26.xで追加された機能まで含めると、判断材料がかなり変わります。以下はAdobeヘルプ「After Effects の新機能」(ページ内の最終更新日 2026年6月17日・2026年8月2日取得)に記載されている内容です。

バージョン機能できるようになったこと
26.2(2026年4月)AIを活用したオブジェクトマットシングルクリックの被写体選択で、被写体を自動的に選択・分離・追跡する
26.2(2026年4月)クイック適用効果・アニメーションプリセット・メニューコマンドを検索して即座に適用する
26.3(2026年6月)Advanced 3Dの被写界深度3Dモデルやパラメトリックメッシュ、3Dテキストにピントを合わせる表現ができる
26.3(2026年6月)更新されたマスクトラッカータイムラインパネルから直接トラッキングを開始でき、最大5倍の高速化
26.3(2026年6月)Illustrator・SVGの貼り付け編集可能なシェイプレイヤーとして直接ペーストできる
26.0(2026年1月)Substance 3D マテリアル3Dモデルやメッシュに素材(.sbsar)を適用してスタイルを作れる
26.0(2026年1月)ロスレス圧縮再生画質を落とさず少ないディスク容量で長いセグメントをプレビューできる
26.0(2026年1月)Windows ARM ネイティブ対応ARMベースのWindows機でネイティブに動作する

導入判断に効くのは、手作業の量が減った領域がどこかという視点です。従来はロトブラシで時間をかけて切り抜いていた被写体分離が26.2のオブジェクトマットでシングルクリックになり、26.3のマスクトラッカーは最大5倍速くなりました。「学習コストが高い」という評価そのものが、この2年で当てはまる範囲が狭くなっています

Adobe製品との連携も、以前の「読み込める」という水準ではありません。26.0でIllustratorレイヤーをシェイプレイヤーに変換する際にグラデーションの塗り・線・透明度が保持されるようになり、26.3ではIllustratorやSVGのコンテンツをコピーして貼り付けるだけで編集可能なシェイプレイヤーになります。ロゴやアイコンをIllustratorで作ってからAfter Effectsで動かすワークフローは、ここでほぼ摩擦がなくなりました。

テキストアニメーションも26.0でバリアブルフォント軸に対応し、太さ・幅・スタイルを1つのフォントファイルで連続的にアニメートできるようになりました。26.3ではフォントリストをバリアブルフォントだけに絞り込めます。動かす前提のフォント選びが重要になるので、候補は Adobe Fontsのおすすめ日本語・英語フォント から選ぶと外しません。


最初の1本:3秒のロゴアニメーションを作って到達を確認する

学習方法として「チュートリアルを探す」「無料テンプレートを落とす」と書かれても、どこで自分が到達したのか判定できません。ここでは作るものを1つに固定します。お題は3秒のロゴアニメーションです。ロゴが下からフェードインしながら少し上に動き、止まって終わる。それだけです。

このお題を選ぶ理由は、After Effectsの中核概念を3つとも通るからです。Adobe公式FAQはキーフレームを「タイムライン上で、オブジェクトの特定要素が特定のプロパティや値となる時点を指定するもの」プリコンポジションを「複数のレイヤーをグループ化し、1つのコンポジションにまとめる方法」と定義しています(2026年8月2日取得)。この2つに親子付けを足せば、複雑な動きはすべてその組み合わせで作れます。

手順

  1. 1920×1080、フレームレート30fps、デュレーション3秒のコンポジションを新規作成する
  2. ロゴを読み込む。IllustratorやSVGがあるなら、貼り付けて編集可能なシェイプレイヤーにする
  3. ロゴレイヤーの不透明度に、0秒で0%、0.8秒で100%のキーフレームを2つ打つ
  4. 同じレイヤーの位置に、0秒で少し下、0.8秒で最終位置のキーフレームを2つ打つ
  5. 4つのキーフレームを選択してイージーイーズをかけ、動きの立ち上がりと減速をつける
  6. ロゴレイヤーをプリコンポジションにまとめ、そのプリコンポジションに対して全体のスケールを1つ足す
  7. H.264形式で書き出す

合否ラインと、外れたときの分岐

「なんとなくできた」で終わらせないために、合格の条件を数値で決めます。次の4つがすべて満たされていれば到達です。

確認する項目合格の条件
書き出したファイル1920×1080、3秒ちょうど、H.264で再生できる
動きの終わり方最後の位置で完全に静止している。ずっと動き続けていない
プリコンポジションのスケール中のキーフレームを壊さずに全体の大きさだけ変わる
プレビュー3秒を通してリアルタイムで滑らかに再生できる

外れたときの読み方も決めておきます。書き出しの尺が3秒にならない場合はコンポジション設定ではなくレンダーキューの作業領域を見ます動きが止まらない場合はキーフレームが2つでなく1つしか打たれていないか、位置の最終値が最初と同じですプリコンポジションを操作したのに中身が個別に動いてしまう場合は、レイヤーをまとめる前の状態で操作しています。そして3秒すら滑らかに再生できない場合は、作り方ではなく環境の問題なので、前章の切り分け順序に戻ってください。ここが、動作環境の判定と学習が1本につながる地点です。

教材は出所の分かるものだけを使ってください。「無料テンプレート」で検索して見つかる配布サイトは、ライセンスが不明なものが混ざります。案件に使うと権利の問題になるため、最初の1本は Adobe公式のAfter Effects学習ページ から入るのが確実です。かつて記事や検索でよく見かけたヘルプ内のチュートリアル一覧ページは、現在このAdobe Learnへ統合されています(2026年8月2日に実ブラウザで到達を確認)。


よくある質問(FAQ)

Q. After Effectsの料金はいくらですか?

単体プランは年間プラン(月々払い)で月額3,280円(税込)、すべてのCreative CloudアプリがセットになったCreative Cloud Proは個人向けで月額9,080円(税込)です(2026年8月2日にAdobe公式のAfter Effectsプラン比較ページで取得)。Creative Cloud Proには新規かつ年間プラン月々払いに限り最初の3か月だけ50%OFFの月額4,539円(税込)という特価があり、グループ版は1ライセンスあたり月額11,990円(税込)です。

Q. After Effectsに買い切り版はありますか?

ありません。Adobe公式FAQは「After EffectsはCreative Cloudのサブスクリプション(月々プランまたは年間プラン)でのみご利用いただけます」と明記しており、買い切りのパッケージ版は提供されていません(2026年8月2日取得)。選べるのは単体プランかCreative Cloud Proかという違いだけで、どちらもサブスクリプションです。

Q. 無料体験は何日間で、終わると何が起きますか?

7日間で、終了すると自動的に有料のCreative Cloudメンバーシップに移行します。Adobe公式FAQに「7日間の無料体験が終了すると自動的に有料のCreative Cloudメンバーシップに移行します。無料体験期間中はいつでも解約可能です」と記載されています(2026年8月2日取得)。体験版は最新版とベータ版のすべての機能が使えるため、自分のマシンで実用になるかの実測にはこの7日間で足ります。

Q. 自分のPCで動くかは、どこを見れば判断できますか?

Adobeヘルプの「After Effects の必要システム構成」と自分のマシンの値を突き合わせます。26.xの最小はメモリ16GB、ディスプレイ1440×900、空きストレージ8GB以上で、OSはWindows 11 v24H2またはmacOS Sonoma(バージョン14)、GPUはWindowsとIntel Macで4GB以上、Apple シリコンでは16GBのRAMが条件です(2026年8月2日取得)。macOSなら sw_vers と sysctl と system_profiler の出力で数分あればすべて確認できます。

Q. Premiere ProとAfter Effectsは、どちらを先に覚えるべきですか?

作りたいものによります。Adobe公式FAQは「Premiereはビデオ編集に最適な製品、After Effectsはモーショングラフィックスとビジュアルエフェクト用の製品です」とし、一般的なワークフローとして「Premiereでビデオプロジェクトを開始し、After Effectsを使用してビジュアルエフェクトやモーショングラフィックスをそれに追加する」流れを示しています(2026年8月2日取得)。撮影素材を並べて1本の動画にするのが目的ならPremiere Proが先、1カットの中身を作り込みたいならAfter Effectsから入って構いません。

Q. 学生や教職員だと安くなりますか?

安くなりますが、価格が段階的に上がる点に注意が必要です。Adobeの学生・教職員向けページはCreative Cloud Proを最初の3ヵ月980円(税込)、4か月目以降2,180円(税込)、2年目以降4,180円(税込)と案内しています(2026年8月2日取得)。一方でAfter Effectsプラン比較ページのFAQは学生価格を「初年度2,180円/月(税込)」とだけ書いており980円に触れていないため、継続前提の判断は2年目以降の4,180円を基準にするのが安全です。

Q. After EffectsにAIの機能はありますか?

あります。バージョン26.2(2026年4月)で「AIを活用したオブジェクトマット」が追加され、シングルクリックの被写体選択でコンポジション内の被写体を自動的に選択・分離・追跡できるようになりました(Adobeヘルプ「After Effects の新機能」・2026年8月2日取得)。従来ロトブラシで手作業していた切り抜きの工数がここで大きく変わっているため、古い記事の「学習コストが高い」という評価をそのまま鵜呑みにしないほうがよい部分です。

Q. Apple シリコンのMacで注意することはありますか?

プラグインとコーデックの互換性を先に確認してください。Adobeヘルプ「Apple シリコン対応の After Effects」によると、バージョン24.0以降はRosettaエミュレーションがサポートされなくなり、Apple シリコン向けに移植されていないサードパーティ製プラグインは使用できず、起動時に警告ダイアログで一覧表示されます(2026年8月2日取得)。GoPro Cineformコーデックの読み込みと書き出しもサポート対象外なので、既存プロジェクトを持ち込む場合は特に注意が必要です。


まとめ

After Effectsを入れるかどうかは、機能の多さではなく3つの判定で決まります。ひとつめは用途の判定で、1カットの中身を作り込む仕事があるかどうか。ふたつめは環境の判定で、公式の必要システム構成と自分のマシンの値を突き合わせること。みっつめは費用の判定で、After Effects以外に使うAdobeアプリが2つ以上あるかどうかです。

  • 単体プランは月額3,280円(税込・年間プラン月々払い)。買い切り版は存在しない
  • 全アプリのプランは「コンプリートプラン」ではなくCreative Cloud Proという名前に変わっている
  • 無料体験は7日間。終了すると自動的に有料へ移行するので、開始日を記録しておく
  • 最小はメモリ16GB、ディスプレイ1440×900、Windows 11 v24H2またはmacOS 14。Windows 10は要件から外れている
  • AVX2の確認はIntel Macのみ。Apple シリコンでコマンドがエラーになるのは正常
  • 無印のMシリーズは公式が最小にも推奨にも明記していない。無料体験での実測が唯一の判断材料

本記事の金額と必要システム構成は、すべて2026年8月2日にAdobe公式ページから取得したものです。特に「最初の3か月50%OFF」はキャンペーンであり、終了時期は公表されていません。契約する前に必ず公式ページで最新の金額を確認してください。デザイン全般の考え方をまとめて追いたい場合は デザインガイド から関連記事をたどれます。

本記事の出典(すべて2026年8月2日取得)

Adobe Creative CloudAfter Effects導入前チェック|必要スペック・料金・最初に作る1本