GEO・AIO対策は何から?記事0本の日に決まる着手順


GEO・AIO対策を何から始めるかの答えは、施策の優先順位ではなく「いつ敷くか」で決まります。結論から言うと、AIクローラーの許可とインデックスの土台は、記事を1本も書いていない日に終わらせます。構造化データなどの配管も同じ日に通しておきます。記事を書くのは、そのあとです。

「SEOが先か、GEO・AIOが先か」という議論をよく見かけます。ただ、この2つは同じ土俵の話ではありません。片方はサイトに1回入れれば全ページに効く設定で、もう片方は記事を出すたびに毎回発生する作業です。競うものが違うので、どちらが先かを比べても答えが出ません。

この記事はこれからサイトを作る人に向けて、着手する順番だけを扱います。GEO・AIO・AEO・LLMOという用語そのものの整理はAIO・AEO・GEO・LLMOとは?AI時代のSEO新概念の違いと実践的な最適化方法に、すでにサイトがある人向けの配分の決め方はSEO・AEO・GEOの投資配分にまとめてあります。


GEO・AIO対策の着手順は「用水路 → 水」で決まる

田んぼに水を引くとき、先にやるのは用水路を掘ることです。水を汲んでくるのはそのあとになります。順番を逆にしても水は流れますが、途中で地面に染みて目減りします。

サイト制作もこれと同じ構造をしています。用水路にあたるのがサイト側の設定で、水にあたるのが記事です。そして両者の決定的な違いは、掘る回数にあります。用水路は1回掘れば、あとは何度水を流しても勝手に届きます。水のほうは毎回自分で汲んでこなければなりません。

ここから導かれる結論はひとつです。1回で済むほうを、記事が0本の日に終わらせておく。これがGEO・AIO対策の着手順のすべてです。


全体像:土地をならす/用水路を掘る/水を流す

サイト制作で行う作業は、この3つの層に分かれます。層を分ける基準は施策の名前ではなく、「何回やるか」です。

中身いつやるか回数
第1層:土地をならすクロール許可・インデックス・サイトマップ・表示速度記事0本の日1回。以後すべてのページに効く
第2層:用水路を掘る構造化データ・著者情報・更新日・テンプレートの型記事0本の日1回。以後の記事が自動的に満たす
第3層:水を流す記事の中身・検索意図・独自の知見1記事目以降ずっと毎回。自動化できない

世の中で「GEO対策」「AIO対策」と呼ばれているものは、この表の第1層と第2層にまたがって散らばっています。一方で「SEO対策」と呼ばれているものは、第1層と第3層にまたがっています。名前で切ると層をまたいでしまうので、着手順が決まらないわけです。


第1層 土地をならす — クロールとインデックス

第1層は唯一「やらないと出ない」層です。ここだけは効率の話ではなく、可否の話になります。しかも各社が公式ドキュメントで条件を明記しているので、推測の余地がありません。

Google以外のAIは、クローラーを名指しで許可する必要がある

ここが新規サイト制作でいちばん見落とされます。ChatGPTの検索結果に出るかどうかは、robots.txt で特定のボットを許可しているかで決まります。

OpenAIの公式ドキュメントによると、同社は用途の異なるボットを複数運用しており、それぞれ独立して制御できます。OpenAI「Bots」には、検索表示用のボットを拒否したサイトは検索結果から除外されると記載されています。

ボット名用途許可しないとどうなるか
OAI-SearchBotChatGPTの検索機能での表示ChatGPT検索の結果に出なくなる
GPTBot生成AIモデルの学習用クロール学習データに使われなくなる(表示とは別)
ChatGPT-Userユーザーの質問に応じたページ訪問自動クロールには使われない
PerplexityBotPerplexityの検索結果での表示Perplexityの結果に出なくなる

重要なのは「表示用」と「学習用」が別のボットに分かれている点です。学習には使われたくないが検索結果には出たい、という判断ができます。OpenAIのドキュメントには、検索用を許可しながら学習用を拒否する設定が可能である旨が明記されています。Perplexityも同様に、公式ガイドで検索表示用のボットを robots.txt で許可することを推奨しています。

この判断はサイトを作る日にしかまとめてできません。あとから思い出して robots.txt を見直す機会は、実際には訪れないからです。

GoogleのAI機能は「インデックスされていること」が条件

Google側の条件は明快です。Google検索セントラル「AI features and your website」には、AI OverviewsやAI Modeに参照リンクとして表示されるには、そのページがインデックスされていて、かつスニペット付きでGoogle検索に表示できる状態である必要があると書かれています。

裏を返すと、Googleに関してはAI検索のための追加設定が存在しないということです。同ページには、これらの機能に表示されるために新しい機械可読ファイルやAI向けテキストファイル、マークアップを作る必要はない、と明記されています。この点は第2層の話をするときに効いてきます。

第1層でやることは、結局この4つに集約されます。

  1. robots.txt で、表示させたいAIのクローラーを許可する(学習用は別途判断)
  2. サイトマップを送信し、インデックスされる状態を作る
  3. noindex や不要なクロール制限が残っていないか確認する
  4. 本文がJavaScript実行なしで読める状態か確認する

第2層 用水路を掘る — 後から通すと高くつく配管

第2層は第1層とは性格が違います。やらなくても記事は出ますし、AIに引用されることもあります。ここを「入れないとAI検索に出ない」と説明している記事を見かけますが、少なくともGoogleについては公式が正面から否定しています。

では、なぜ記事0本の日にやるのか。理由はAI検索のためではなく、後から通すと工数が肥大化するからです。

1回の作業が、記事の本数だけ増える

第2層の作業には、テンプレートに1回入れれば以後の記事すべてに乗るものと、記事ごとに手を入れるものが混ざっています。問題は、先にやれば前者で済むものが、後からやると後者に化けることです。

作業記事0本の日にやる場合記事が増えてからやる場合
構造化データの出力テンプレートに1回書くテンプレート修正+全記事の出力確認
著者情報の設計1回決めて型に埋める過去記事の表示と構造化データの突き合わせ
更新日の運用ルール最初から動く状態で始める過去記事の日付が実態と合っているか棚卸し
本文の型(結論を先に書く等)ひな形に固定して以後全記事が従う既存記事を1本ずつ読み直して書き換え

右の列は、どれも記事の本数に比例して膨らみます。しかも既存記事の修正は、書き換えるたびに内容そのものを読み直す必要があるため、新規記事を1本書くより時間がかかることさえあります。左の列はどれも1回で終わります。この差が、着手日を前に倒す唯一にして十分な理由です。

いま運用中のサイトで、この配管が通っているかどうかを確かめたい場合はAI検索で引用されない?対策3つで現状の見方を整理しています。

自分のサイトの配管が通っているか診断する


配管に通す4つと、それぞれを入れる理由

第2層に入れるものは4つです。いずれもAI検索に出るための必須条件ではありません。それぞれ別の理由で入れます。

構造化データ(JSON-LD)

入れる理由は通常のGoogle検索でのリッチリザルトと、ページの性格を機械が誤解しないようにするためです。AI検索のためではありません。記事なのか、ツールなのか、一覧なのかを明示しておくと、後から種類を増やすときにも土台が使えます。

形式はJSON-LDを選びます。本文のHTMLと分離して出力できるため、テンプレート側に1回書けば以後の記事が自動的に持つようになるからです。本文に埋め込む形式を選ぶと、この「1回で済む」という性質が失われます。

著者情報(author)

入れる理由はE-E-A-Tの表現と、後からの手戻りがいちばん大きい項目だからです。著者情報は構造化データ側と画面表示側の両方に出るうえ、プロフィールページという実体も必要になります。この3つを後から揃えると、全記事の表示確認が発生します。

逆に、最初に「誰が書いているサイトなのか」を1回決めてしまえば、以後の記事は何も考えずにその情報を持ちます。

更新日(dateModified)

入れる理由は運用が始まってからでは正しい値を復元できないからです。公開日と更新日を分けて持たずに走り出すと、あとから「この記事はいつ直したのか」を思い出せなくなります。記録は最初から取っていないと作れません。

注意点として、更新日は実際に内容を直したときだけ動く状態にしておきます。触っていない記事の日付が自動で新しくなる作りは、読者に対しても検索エンジンに対しても実態と食い違います。

llms.txt は、いま急いで作る必要はない

4つ目のllms.txtだけは扱いが異なります。主要なAI検索エンジンで、これを読んで結果に反映していると公表しているところは現時点でありません。Googleは前掲のドキュメントで、AI向けのテキストファイルを新たに作る必要はないと明記しています。

作ること自体に害はありませんが、第1層のクローラー許可より先に手をつける理由はありません。優先度の判断材料はllms.txtとは何かに詳しくまとめています。


第3層 水を流す — 記事だけは毎回手で汲む

第1層と第2層を敷き終えても、AIに引用されるかどうかは決まりません。ここを「設定すれば自動で埋まる」と考えると、配管だけ立派で水が流れていないサイトになります。

実際に引用の可否を分けているのは、記事の中身です。問いに対する答えが本文の早い位置にあるか、数値に出典があるか、そこにしか書かれていない知見があるか。これらはテンプレートに埋め込めません。1記事ごとに書くしかない部分です。

ただし「型」だけは第2層に前借りできます。見出しの直後に結論を置く、手順は番号付きリストにする、比較は表にする、といった構造上の約束をひな形に固定しておけば、以後の記事は書くだけで自動的にその形になります。前借りできるのは器の形までで、中身は毎回汲んでくる、という切り分けです。


100本書いてから掘ると何が起きるか

記事を100本書いたあとで第2層に着手する場合、作業はこう変わります。

  1. テンプレートを直す(ここは記事0本のときと同じ工数)
  2. 過去記事すべてで、出力が壊れていないか確認する
  3. テンプレートでは埋まらない項目を、記事ごとに手で埋める
  4. 本文の型に合っていない記事を読み直して書き換える
  5. 書き換えた記事のインデックスが更新されるのを待つ

増えるのは1番以外の全部です。しかも4番の「読み直して書き換える」は、新しい記事を書く時間を丸ごと奪います。過去の在庫を直している間、新しい水は1滴も流れません。これが工数肥大化のいちばん重い部分です。

記事0本の日にやれば、この5段階は1番だけで終わります。同じ成果を得るのに、支払う額が桁で変わるということです。


なぜ「SEOが先」と「配管が先」は噛み合わないのか

「まずSEOの基礎を固めてからGEOへ」という説明は、よく見かけますし、間違ってもいません。ただこの文脈で言われているSEOは、ほとんどの場合ここでいう第3層(記事を書く作業)を指しています

一方で「配管が先」と言うときに指しているのは第1層と第2層です。この2つは競合しません。第3層は1記事目以降ずっと続く作業で、第1層・第2層は記事0本の日に終わる設定だからです。順番を争う関係になっていません。

主張実際に指している層正しいか
SEOが先第1層+第3層正しい。ただし第3層は「先」ではなく「ずっと」
GEO・AIOが先第1層+第2層正しい。記事0本の日に終わる設定を指している
SEOはもう古い成り立たない。第1層はAI検索の前提条件そのもの

結局のところ、両者は同じ「先」という言葉で違う層を指していただけです。層で分ければ、どちらの主張も同時に成立します。


新規サイトだけが持てる優位

ここまでの話には、新規サイトにしか使えない性質がひとつあります。第1層と第2層を、同じ日にまとめて打てることです。

運用中のサイトでは、設定を変えるたびに既存ページへの影響を確認する必要があります。テンプレートを直せば全記事の表示が変わり、robots.txt を触れば既存のクロールに影響します。作業のたびに検証がついてまわるので、1回の変更が1回で終わりません。

記事が0本のサイトには、影響を受ける既存ページがありません。検証コストがゼロの状態で設計を確定できる期間は、サイトの一生のうちこの一度だけです。ここを使い切らずに記事を書き始めると、以後は永久に検証コストを払い続けることになります。

制作全体の流れのなかでどこに位置づけるかはAI時代のWeb制作完全ガイドで扱っています。


記事0本の日のチェックリスト

1記事目を書き始める前に、この順で確認します。上から順に、下ほど後回しにできます。

優先確認すること
1robots.txt で、表示させたいAIのクローラーを許可しているか第1層
2学習用クローラーを許可するかどうかを判断したか第1層
3サイトマップを送信し、インデックスされる状態か第1層
4本文がJavaScript実行なしで読めるか第1層
5構造化データをテンプレート側で出力しているか第2層
6著者情報が構造化データと画面表示の両方にあるか第2層
7更新日が、実際に直したときだけ動く作りか第2層
8本文の型(結論を先に置く等)をひな形に固定したか第2層

1から4までが終わっていれば、記事を書き始めても取り返しのつかない負債は生まれません。5から8は、遅れるほど支払う額が増えていきます。


よくある誤解:配管は「可否」ではなく「効率」の話

最後に、この分野でいちばん流通している誤解を整理します。

よくある説明実際
構造化データを入れないとAI検索に出ないGoogleは専用のschema.org構造化データを追加する必要はないと明記している
llms.txt を置けばAIに読まれる読んで結果に反映していると公表しているエンジンは現時点でない
GEO設定をすれば記事は自動で引用される自動化できるのは機械可読の部分まで。引用の可否は本文の中身が決める
SEOはもう古いインデックスとクロール許可はAI検索の前提条件そのもの

配管を通さなくても、記事はインデックスされますし、AIに引用されることもあります。配管が変えるのは「届くかどうか」ではなく「どれだけ効率よく届くか」です。そして効率の差より大きいのが、後から通すときの工数差でした。

逆に、第1層のクローラー許可だけは効率ではなく可否の話です。ここを落としているサイトは、どれだけ良い記事を書いてもChatGPTやPerplexityの結果に出ません。記事0本の日に確認すべきことが1つだけだとしたら、これです。

クローラー許可と構造化データの状態をまとめて診断する


よくある質問

Q. すでに記事を書き始めています。もう手遅れですか?

手遅れではありません。工数が増えるだけで、やること自体は同じです。ただし記事が増えるほど支払う額が上がるため、着手を先送りする理由はありません。まず第1層のクローラー許可を確認し、次にテンプレート側で埋まる項目から順に進めてください。

Q. 構造化データを入れないと、AI検索には表示されませんか?

表示されます。Google検索セントラルは、AI機能に表示されるために追加すべき専用のschema.org構造化データは存在しないと明記しています。構造化データを入れる理由は、通常の検索でのリッチリザルトと、ページの性格を機械に誤解させないことにあります。

Q. llms.txt は作ったほうがよいですか?

急ぐ必要はありません。読んで結果に反映していると公表している主要エンジンは現時点でなく、Googleは新たなAI向けテキストファイルを作る必要はないと明記しています。作ること自体に害はありませんが、第1層のクローラー許可より先に手をつける理由はありません。

Q. AIのクローラーを許可すると、記事を学習に使われませんか?

検索表示用と学習用は別のクローラーに分かれているため、片方だけを許可できます。OpenAIのドキュメントには、検索用を許可しながら学習用を拒否する設定が可能である旨が記載されています。学習には使われたくないが検索結果には出したい、という判断が実際にできます。

Q. 設定を終えれば、記事は自動でAIに引用されますか?

されません。自動化できるのは機械可読の部分までで、引用されるかどうかは本文の中身が決めます。問いへの答えが早い位置にあるか、数値に出典があるか、そこにしか書かれていない知見があるか。この3つは1記事ごとに書くしかありません。

Q. 最初にやることを一つだけ挙げるとしたら何ですか?

robots.txt で、表示させたいAI検索のクローラーを許可することです。これだけは効率ではなく可否の問題で、落としているとどれだけ良い記事を書いてもChatGPTやPerplexityの結果に出ません。しかもサイト側の1回設定で、以後すべてのページに効きます。


関連記事