ComfyUIとは、画像や動画を生成するAIモデルを、ノード(処理の部品)を線でつないで動かす無料のオープンソースツールです。本体はGPL-3.0ライセンスで公開されていて、自分のPCで動かす限り料金はかかりません。
名前はよく見かけるけれど、自分のPCで動くのか、本当に無料なのか、作った画像を仕事で使ってよいのかが分からない。そう感じて、始める手前で止まっている人は多いはずです。ComfyUIは更新が速く、リポジトリの移管やデスクトップ版の作り直しなど、ここ1年でも大きく変わっています。
この記事では、ComfyUIの公式ドキュメントとGitHub、各モデルのライセンス原文、文化庁の資料をもとに、始める前に確かめておきたいことを整理します。情報はすべて2026年9月19日時点のものです。
ComfyUIとは|ノードをつないで画像・動画を生成する無料ツール
ComfyUIは、Stable DiffusionやFLUXなどの生成AIモデルを動かすための画面(UI)です。「モデルを読み込む」「プロンプトを入力する」「画像を生成する」「保存する」といった処理が1つずつノードになっていて、それを線でつなぐと生成の流れ(ワークフロー)ができあがります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 種類 | 生成AIモデルを動かすノード型のUI |
| 開発 | Comfy Organization, Inc.(Comfy Org・米国) |
| ライセンス | GPL-3.0(本体) |
| 料金 | 自分のPCで動かす場合は無料 |
| 対応OS | Windows、macOS(Apple Silicon)、Linux |
| 最新版 | v0.36.0(2026年9月16日公開) |
リポジトリは、作者の個人アカウントからComfy-Org組織へ2026年1月6日までに移管すると2025年末にGitHubで告知されました。現在の正規のURLは github.com/Comfy-Org/ComfyUI です。READMEによると、安定版はおおむね2週間ごとに公開されます。運営のComfy Orgは、2025年9月に1,700万ドル、2026年4月に3,000万ドルの資金調達を公式ブログで公表しています。
ComfyUIでできること
ComfyUIは「箱」にあたるツールで、何ができるかは中に入れるモデルとノードで決まります。代表的な使い道は次のとおりです。
| できること | 内容 |
|---|---|
| 画像生成 | 文章から画像を作る、画像をもとに別の画像を作る |
| 画像の部分修正 | 一部だけ描き直す、画像を外側へ広げる、高解像度にする |
| 動画・音声・3D | 対応するモデルを入れると扱える |
| ワークフローの保存と共有 | 組んだ処理の流れをファイルで保存し、他人のワークフローを読み込んで再現できる |
| 機能の追加 | 有志が作ったカスタムノードで機能を増やせる。公式サイトによると拡張は5,000以上、ノードは合計60,000以上 |
| App Mode | ノードを隠し、必要な入力欄だけの画面でワークフローを動かすモード |
App Modeは2026年3月10日に発表された機能で、ローカル版とクラウド版の両方で使えます。ノードを組むのが難しそうだと感じる人にとって、入口の役割を果たす機能です。誰かが組んだワークフローを、入力欄に文字を入れるだけで動かせます。
Stable Diffusion WebUIとの違い
Stable Diffusion WebUI(AUTOMATIC1111版)も、自分のPCで画像生成モデルを動かす無料ツールです。違いは操作の仕方にあります。WebUIは入力欄を埋めて「生成」を押すフォーム型、ComfyUIは処理の部品をつないで流れそのものを組むノード型です。
| 観点 | Stable Diffusion WebUI | ComfyUI |
|---|---|---|
| 画面 | タブと入力欄 | ノードを線でつなぐキャンバス |
| 始めやすさ | 入力欄を埋めれば動く | 処理の流れを理解する必要がある(App Modeで緩和) |
| 自由度 | 用意された機能の範囲内。拡張機能で追加する | 処理の順番や分岐を自由に組める |
| 再現と共有 | 生成画像に設定値が記録される | 処理の流れ全体をワークフローとして共有できる |
| 更新 | 最新版はv1.10.1のまま | 安定版がおおむね2週間ごと |
更新の状況には差がついています。AUTOMATIC1111版の最新リリースはv1.10.1で、masterブランチも2024年7月から更新されていません。派生版のForgeも、READMEで本家を「almost static now(ほぼ止まっている)」と書いています。開発ブランチへの修正は続いていますが、新しいモデルへの対応を求めるならComfyUIの方が選びやすい状況です。
公式の入手方法(デスクトップ版・ポータブル版・クラウド版など)
ComfyUIには公式の入手方法が5つあります。公式は、一般の利用者にはデスクトップ版を勧めています。
| 方法 | 対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| Comfy Desktop | Windows 10以降、macOS 13以降(Apple Silicon)、Linux | インストーラー形式。最新版はv1.1.0(2026年9月18日公開) |
| Windows Portable | Windows(NVIDIA・AMD・Intel用) | 圧縮ファイルを展開して使う |
| 手動インストール | 全OS・全GPU | Pythonの環境を自分で用意する。Python 3.13が推奨 |
| comfy-cli | 全OS | 「pip install comfy-cli」でインストールと起動ができる |
| Comfy Cloud | ブラウザ | 有料のクラウド版。PCの性能を問わない |
デスクトップ版の対応OSは公式ドキュメントの記載に従っています。本体のREADMEのデスクトップ版の節にはWindowsとmacOSしか書かれていませんが、ドキュメントと配布ファイルではLinux版も提供されています。なお、デスクトップアプリ自体のライセンスは本体と異なり、AGPL-3.0と商用ライセンスのデュアルです。商用ライセンスはアプリを自社製品やサービスに組み込む事業者向けのもので、利用者が画像を生成したり、生成物を商用利用したりすることには関係しません。
動作に必要なPCスペック
ComfyUIの公式は、必要なVRAM(GPUのメモリ)の量を数値で示していません。ネット上でよく見る「VRAMは8GB以上」といった数字は、公式の要件ではない点に注意してください。公式に書かれているのは次の範囲です。
| 項目 | 公式の記載 |
|---|---|
| 対応GPU | NVIDIA、AMD、Intel Arc、Apple Silicon、Ascendなど |
| GPUの推奨 | NVIDIAの3000シリーズ以降。VRAMは多いほど良い(公式Wiki) |
| CPUだけ | 起動オプション「--cpu」で動かせるが、遅い |
| メモリ(デスクトップ版) | RAM 8GB(16GB推奨)。これはPC本体のメモリで、VRAMではない |
| ディスク(デスクトップ版) | 1インストールあたり4.85GB以上 |
出典は公式のシステム要件、デスクトップ版の概要、公式Wiki「Which GPU should I buy」です。ディスクの4.85GBは本体だけの容量で、使うモデルのファイルを置く容量は別に必要です。
VRAMが足りない環境向けに、公式の起動オプションとして --lowvram、それでも足りない場合の --novram、VRAMを一定量残す --reserve-vram が用意されています。Web制作用のPC選びの考え方はWeb制作に必要なパソコンスペックの選び方でまとめています。
Mac(Apple Silicon)で使う場合
ComfyUIは、M1〜M4などのApple Silicon搭載Macで動きます。GPUの処理には、Appleの「MPS(Metal Performance Shaders)」が使われます。デスクトップ版はmacOS 13以降とApple Siliconが必須で、Intel Macはデスクトップ版の対象外です(公式ドキュメント)。
一方で、公式WikiのGPU選びのページは、Macを「D Tier」に分類しています。理由として「とても遅い」「多くの演算が正しくサポートされていない」「fp8に対応していない」を挙げています。
つまり、Macで試すことはできるものの、重いモデルや動画生成を日常的に回す用途は、公式自身が想定の中心に置いていません。Macで本格的に使いたい場合は、後述のComfy Cloudを併用するか、クラウドの画像生成サービスで足りないかを先に検討すると判断しやすくなります。
無料で使える範囲と有料になる部分
お金がかかるのは、Comfy CloudとPartner Nodesの2つだけです。自分のPCで動かす使い方は、デスクトップ版も含めて無料です。
| 使い方 | 料金 | 内容 |
|---|---|---|
| ローカル(Desktop・Portable・手動) | 無料 | インターネットにつながなくても動く |
| Partner Nodes | クレジットを前払い | 有料のクローズドモデルをAPIで呼び出すノード。使ったときだけ消費する |
| Comfy Cloud | 月払い20ドルから | ブラウザで使うクラウド版。GPUを用意しなくてよい |
Partner Nodesの仕組み
Partner Nodesは、ComfyUIの中からクローズドな画像・動画生成モデルを呼び出す機能です。公式ドキュメントによると、完全に任意(opt-in)の機能で、ローカルのComfyUIは無料のままです。使うにはComfyアカウントへのログインと、前払いのクレジットが必要です。料金はクレジット単位で公開されていて、たとえばNano Banana Proは、画像出力1,000トークンあたり30.38クレジットです。トークン単位の課金なので、1枚あたりの消費は解像度によって変わります。ただし、1ドルが何クレジットにあたるかは公式に明記されていません。
起動時に --disable-api-nodes を付けると、Partner Nodesがすべて無効になり、外部との通信も止まります。意図せず課金されるのを防ぎたい場合は、このオプションで確実に止められます。
Comfy Cloudの料金
| プラン | 月払い | 年払い(月あたり) | 月のクレジット |
|---|---|---|---|
| Standard | 20ドル | 16ドル | 4,200 |
| Creator | 35ドル | 28ドル | 7,400 |
| Pro | 100ドル | 80ドル | 21,100 |
| Team | 200〜2,500ドル(5段階) | あり(最大20%割引) | 段階による |
出典はComfy公式の料金ページです。クレジットカードの登録なしで、実際のGPUで5回まで無料で試せます。料金ページによると、GPUはVRAM 96GBのRTX 6000 Proで、900以上のモデルが最初から入っています。課金されるのは、ワークフローを実行している間のGPU時間だけです(公式ドキュメント)。
料金は米ドル建てで、カードの通貨が違う場合は銀行側で換算されます。購入したクレジットは返金されません。なお、公式サイトには提供国の一覧が見当たらず、日本からの利用条件は確認できませんでした。申し込む前に、無料の5回で動作を確かめておくと安心です。
ライセンスは3層で読む(本体・カスタムノード・モデル)
ComfyUIのライセンスを考えるときは、本体、カスタムノード、モデルの3つを分けて考えます。ComfyUI本体のライセンスは、生成した画像の扱いをほとんど左右しません。
| 層 | ライセンス | 何に影響するか |
|---|---|---|
| ComfyUI本体 | GPL-3.0 | ソフトウェアを改変して配布するときのルール |
| デスクトップアプリ | AGPL-3.0と商用のデュアル | アプリ自体を改変・配布するときのルール |
| カスタムノード | 作者ごとに異なる | そのノードのコードの扱い |
| モデル | モデルごとに異なる | モデルの使い方と、生成物の扱い |
GPLが生成物に及ばない点については、GPLを管理するGNU(FSF)のGPL FAQが、プログラムの出力は一般にそのプログラムのコードの著作権に覆われず、コードのライセンスは出力には適用されないと説明しています。そのため、生成した画像を商用に使えるかどうかは、次の節で扱うモデルのライセンスで判断します。
商用利用で確かめること
ComfyUIで使われる代表的なモデルのライセンスを、各モデルの公式ページの原文で確認しました。同じシリーズでも、バリエーションごとにライセンスが違う点に注意してください。
| モデル | ライセンス | 商用利用 |
|---|---|---|
| Stable Diffusion 1.5 | CreativeML Open RAIL-M | 可。使用制限の条項あり |
| SDXL | CreativeML Open RAIL++-M | 可。ライセンサーは生成物に権利を主張しない。使用制限の条項あり |
| Stable Diffusion 3.5 | Stability AI Community License | 年間収益100万ドル未満なら可(登録が必要) |
| FLUX.1 [schnell] | Apache 2.0 | 可 |
| FLUX.1 [dev] | 非商用ライセンス | モデルは非商用。生成物は商用を含めて利用できる |
| FLUX.2 [dev]・[klein] 9B | 非商用ライセンス v2.1 | FLUX.1 [dev]と同じ構造 |
| FLUX.2 [klein] 4B | Apache 2.0 | 可 |
FLUX.1 [dev]のように「生成物は商用利用できるが、モデル自体の商用利用には別のライセンスが必要」という形は、仕事で使う場面でどちらに当たるかの判断が難しくなります。業務で使うなら、モデル自体が商用利用できるライセンスのものを選ぶと判断が単純になります。
日本の著作権で押さえること
ライセンスとは別に、著作権の考え方も押さえておく必要があります。文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月)は、生成AIの生成物でも、既存の著作物との類似性と依拠性が認められれば、著作権者は差止請求や損害賠償請求ができるとしています。また、AIへの指示が表現に至らないアイデアにとどまる場合、生成物に著作物性は認められないとしています。なお、この文書は冒頭で、法的な拘束力を持つものではないと明記しています。
素材のライセンスの読み方は、商用利用できる素材の選び方でも整理しています。
カスタムノードを入れる前の安全確認
カスタムノードはComfyUIの強みですが、第三者が作ったコードをPCで実行することになります。実際に、次のような事例が報告されています。
| 時期 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 2024年6月 | カスタムノード「ComfyUI_LLMVISION」に、ブラウザのパスワードやカード情報を盗んで外部へ送るコードが仕込まれていたと報告された | vpnMentorの報道 |
| 2024年12月 | カスタムノードが依存するパッケージ(ultralyticsの一部バージョン)に、暗号資産の採掘プログラムを取得するコードが含まれていた。ComfyUI-Managerは安全なバージョンに固定する対応をした | Comfy Orgの声明 |
公式も対策を進めています。確認の手順は次のとおりです。
- 公式Registryの検証を確認する:公式Registryは、ノードに悪意ある挙動がないかを検査し、通過したものに検証フラグを付けています。ただし、安全を保証するものではありません。
- 掲載基準を知っておく:Registryの掲載基準では、
evalやexecの使用、コードの難読化などを禁止しています。 - ComfyUI-Managerの安全設定を下げない:Managerには
security_levelの設定があり、git URLからのインストールなどは「高リスク」として、標準の設定では使えないようになっています(公式ドキュメント)。 - 出どころの分からないノードは入れない:ワークフローを読み込んだときに不足ノードを求められても、配布元と更新状況を確かめてから入れます。
【判定】ローカル・クラウド・既存サービスのどれで始めるか
ここまでの内容を、始め方の判断表にまとめます。自分の環境と目的に近い行を選んでください。
| 環境・目的 | 始め方 | 理由 |
|---|---|---|
| NVIDIAのGPUを積んだWindowsまたはLinux | デスクトップ版(ローカル・無料) | 公式が推奨する環境に最も近い |
| Apple Silicon Macで試したい | デスクトップ版で試す。重い処理はComfy Cloud | 動くが、公式自身がMacを遅いと評価している |
| Intel Mac、またはGPUが弱いPC | Comfy Cloud(無料の5回で試す) | デスクトップ版の対象外、または実用的な速度が出にくい |
| ノードを組まずに画像を作れればよい | クラウドの画像生成サービス | ComfyUIの自由度が必要ない |
| 仕事で使う | 先にモデルのライセンスを決める | 商用利用の可否はモデルで決まる |
生成AIのサービス全体の中での位置づけは主要生成AIの使い分けガイド、すでにAdobeを契約している場合の選択肢はFireflyは自分の契約でどこまで使えるかで整理しています。自分のPCで動かすか、クラウドに任せるかという判断の型は、ローカルLLM vs クラウドAPIとも共通します。
よくある質問
Q. ComfyUIは無料で使えますか?
自分のPCで動かす場合は無料です。本体はGPL-3.0のオープンソースで、デスクトップ版も無料で配布されています。お金がかかるのは、クラウド版のComfy Cloudと、有料モデルを呼び出すPartner Nodesを使う場合だけです。
Q. ComfyUIはMacで使えますか?
M1〜M4などのApple Silicon搭載Macで使えます。デスクトップ版はmacOS 13以降が必要で、Intel Macは対象外です。ただし公式Wikiは、Macでの動作をとても遅いと評価しています。
Q. ComfyUIに必要なVRAMはどのくらいですか?
公式はVRAMの必要量を数値で示していません。公式Wikiは、NVIDIAの3000シリーズ以降を推奨し、VRAMは多いほど良いとしています。デスクトップ版の要件にあるRAM 8GB(16GB推奨)は、PC本体のメモリの量です。
Q. ComfyUIで作った画像は商用利用できますか?
ComfyUI本体のライセンスは生成物には及ばないため、判断の決め手は使ったモデルのライセンスです。FLUX.1 [schnell]やSDXLのように商用利用できるモデルもあれば、FLUX.1 [dev]のようにモデル自体は非商用のものもあります。
Q. Stable Diffusion WebUIとComfyUIはどちらを選ぶべきですか?
新しく始めるならComfyUIが選びやすい状況です。WebUI(AUTOMATIC1111版)は最新版がv1.10.1のままで、新しいモデルへの対応を求めるなら、安定版がおおむね2週間ごとに出るComfyUIの方が有利です。
Q. Comfy Cloudは日本から使えますか?
2026年9月19日時点で、公式サイトに提供国の一覧は見当たらず、日本からの利用条件は確認できませんでした。料金は米ドル建てです。クレジットカード登録なしで5回まで無料で試せるので、申し込む前に動作を確かめてください。
Q. ComfyUIのデスクトップ版と本体のライセンスは同じですか?
違います。ComfyUI本体はGPL-3.0で、デスクトップアプリはAGPL-3.0と商用ライセンスのデュアルです。どちらも、生成した画像の扱いを決めるのはモデルのライセンスです。
