商用利用できる素材の選び方|無料と有料でライセンスはどう違うのか


素材が商用利用できるかどうかは、料金の有無ではなく、使用許諾(ライセンス)がどこまでを認めているかで決まります。無料の素材でも、写っている人や商標までは許諾に含まれていないことがあります。逆に有料の素材でも、グッズにして売るには追加のライセンスが必要です。「無料か有料か」は判断材料になりません。

制作の現場でいちばん多いのは、「フリー素材と書いてあったから使った」という判断です。しかしこれは、料金表を見ただけで契約書を読んでいないのと同じ状態です。政府広報オンラインは 2026 年 1 月 27 日の記事で、フリー素材サイトで見つけた画像をアイコンに使う例を挙げ、「これらはいずれも著作権侵害に当たる可能性があります」と書いています。

この記事では、無料サービスと有料サービスの利用規約を実際に突き合わせて、どこまでが許諾に入っていて、どこから外れるのかを整理します。掲載した条文と金額は、すべて 2026 年 9 月 4 日に各社の公式ページから取得したものです。規約は改定されるので、判断の前に必ず出典先の更新日を確認してください。


「無料」が指しているのは料金だけで、権利ではない

無料素材サービスの規約を読むと、「無料」が免除しているのは対価の支払いだけだと分かります。権利の処理は利用者側に残ります。主要 4 サービスの規約から、制限にあたる部分を並べます。

項目写真ACUnsplashPixabayいらすとや
規約の日付2026-08-21 改訂表記なし2024-11-18表記なし
商用利用可(会員登録が必要)
クレジット表記不要不要不要不要
グッズ化して売る不可不可不可不可
商標としての使用不可許諾に含まれない不可記載なし
点数の制限無料会員は 1 日 10 点記載なし大量取得は不可21 点以上の商用は有償
AI の学習利用禁止禁止運営側が学習に使用記載なし

4 サービスすべてに共通しているのは、素材そのものを主役にした商品を作って売ることはできないという点です。写真ACは「写真、または加工した写真データ(二次的著作物を含みます)を主要コンテンツとして、製品に使用すること(カレンダー、ジグソーパズルなどを指しますが、これに限りません)」を禁止事項に挙げています。Unsplash License も “Images cannot be sold without significant modification.”(画像は大幅な改変なしに販売できません)と書いています。

見落とされやすいのは、写っている人と写っているモノ

ここが実務でいちばん危ない箇所です。素材サービスが与えているのはその素材ファイルを使う許諾であって、そこに写り込んでいる人や商標を使う許諾ではありません。両者は別の権利です。

写真ACは利用規約で「弊社では、特定できる人物を含む写真ごとに書面によるモデルリリース(肖像権使用許諾書)を義務付けていません。」と明記し、さらに「弊社は、前述の権利等を所有またはライセンス供与するという表明・保証をせず、これらの付与もしません。」と続けています。つまり肖像権が処理済みである保証は、規約上どこにもありません

Unsplash も同じ構造です。利用規約の第 5 条は「Unsplashライセンスには、以下に関する使用権は含まれません」として、「本画像に写っている商標、ロゴ、またはブランド」「本画像の中の(認識できる)人物」を挙げています。クレジット表記が不要で商用利用も自由、という前段だけを読むと見落とします。

なお、素材に写り込んでいるのではなく、企業のマークそのものを掲載したい場合は、素材サービスの規約ではなくその企業が出しているブランドガイドラインが判断基準になります。こちらは別のルール体系なので、各社のブランドガイドラインの読み方 にまとめてあります。


有料なら自由に使えるわけでもない

お金を払えば何でもできる、というわけではありません。有料サービスのライセンスは段階に分かれていて、標準の段階ではグッズ化して売ることが禁止されています。Adobe Stock を例にすると、段階は 2 つではなく 3 つあります。

ライセンス50 万部を超える印刷・表示グッズ化して売る
通常ライセンス不可不可
強化ライセンス可(上限なし)不可
拡張ライセンス

「標準か拡張か」の 2 択で考えると間違えます。間に強化ライセンスがあり、これは部数の上限を外すだけで、グッズ化の許諾は含みません。大量に刷りたいのか、売り物にしたいのかで、必要なものが変わります。

通常ライセンスでできることの範囲は、Adobe Stock のライセンス情報に具体的に書かれています。Web とソーシャルメディアへの投稿は「閲覧制限なく」可能で、表示回数の上限はありません。印刷物は「500,000 部を超えて印刷することはできず、販売するアイテムに画像を使用することはできません」となります。禁止事項の側には「素材自体が主な購入目的となる商品、テンプレート、そのほかの製品を再販または配布目的で作成する」が並びます。

有料サービス 3 社を同じ軸で並べる

項目Adobe StockPIXTAShutterstock
規約の日付表記なし2025-04-22 改定表記なし
標準でグッズ化不可(拡張が必要)不可(定額制は拡張不可)不可(Enhanced が必要)
商標としての使用公開規約に記載なし明文で禁止明文で禁止
クレジット表記不要(エディトリアルは必要)原則不要(映像配信は条件付き)不要
部数の上限50 万部30 万部で拡張が必要規約参照
違反時の定め素材 1 点につき 10 万円

表で目立つのは 2 か所です。ひとつは PIXTA の違約金で、利用規約の第 18 条に「違反行為に該当する素材1点につき10万円を違約金として支払うものとします」と金額が明記されています。もうひとつは Adobe Stock の商標欄で、PIXTA と Shutterstock が明文で禁止しているのに対し、Adobe の公開ライセンスページには可否の記述が見つかりませんでした。書いていないことを「できる」と読むのは危険なので、商標に使う予定があるなら事前に問い合わせるのが確実です。


Adobe Stock の料金と、契約前に知っておく制約

以下は 2026 年 9 月 4 日に Adobe Stock の料金プランページで確認した個人向けの表示です。同じプランでも支払い方式によって金額が変わるため、方式を分けて載せます。

プラン年間プラン(月々払い)月々払い月あたりの点数
10 ストッククレジット / 月3,828 円6,578 円画像など 10 点 / ビデオ 1 点
10 クレジット(AI Studio 付き)5,280 円8,030 円上記 + 生成 4,000 クレジット
40 クレジット(AI Studio 付き)11,880 円14,960 円画像など 40 点 / ビデオ 6 点
無制限(AI Studio 付き)17,380 円表示なし無制限 + 生成 10,000 クレジット

ひとつ補足があります。この料金ページには「税込」「税別」の表記がありません(2026 年 9 月 4 日時点でページ内を検索して確認)。なお国税庁は総額表示について「事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合に、消費税額(地方消費税額を含む。)を含めた価格(税込価格)を表示することを義務付けるものです」と説明しています。表記がない以上こちらで断定はできないので、確定した金額は購入手続きの画面で確認してください。

申し込む前に知っておく 3 つの制約

  • 年間プランの中途解約には手数料がある — 「14 日を過ぎた時点で解約すると、残存する年間契約金額の半額の手数料が発生します」
  • 日本のクレジットパックは 6 か月で失効する — 「日本国内にお住まいの場合、未使用クレジットは購入日から 6 か月後に自動的に失効します」。⚠️ 同じページのスライダー下には「クレジットは購入後 1 年間有効です。」という記載もあり、公式ページ内で食い違っています
  • 無制限プランは解約すると使えなくなる素材がある — 「未使用のダウンロード済みアセットをプラン終了後に使用することはできません」

3 つ目は、ライセンス情報ページにある「世界各国での利用を対象にした Adobe Stock の永続的ライセンス」という記述と、一見ぶつかります。整合的に読むなら、永続的に使えるのは実際にプロジェクトで使った素材で、ダウンロードしただけで寝かせていたものは対象外ということになります。「解約してもずっと使える」と単純に理解していると、無制限プランでつまずきます。

従量制(クレジット制)のほうは素直で、ライセンスを取得した素材は解約後も使い続けられます。失効するのは未使用のクレジットです。まず必要な点数だけ確保したいなら、現在のプランと必要なクレジット数を照らし合わせてから決めるのが安全です。


補償はどこまで守ってくれるのか

有料サービスを選ぶ理由として「権利侵害を主張されたときに守ってくれる」という点が挙がります。Adobe Stock の料金ページにも、各プランに「アドビによる補償: Adobe Stock ライセンスの保護 Up to US$10,000」と表示されています。ただしこの補償が何を守るのかは、思っているより狭い範囲です

対象になるか内容
なるライセンスを取得して支払った Adobe Stock の素材(1 素材あたり US$10,000 が上限)
ならない無料で配布されている素材
ならない「Generated with AI」と表示されている素材(生成AI向けの補償の対象外)
ならない出力を改変したもの、他の素材と組み合わせたもの

誤解が起きやすいのは、生成 AI の扱いです。Firefly で生成した出力に対する補償は、個人向けプランには付きません。Adobe の生成 AI 向け利用条件(2025 年 6 月 17 日発効)は、補償の条項について “This section 8 only applies if you: (1) are a Creative Cloud for teams or Creative Cloud for enterprise customer and (2) have purchased a Creative Cloud Pro Plus plan or Creative Cloud, Edition 4 plan” と対象を限定しています。個人で Adobe Stock を契約して得られるのは、あくまで Stock 素材のほうの補償です。

「Adobe なら生成 AI も補償付きで安心」という言い方は、少なくとも個人プランについては成り立ちません。生成した画像を案件で使うのであれば、補償の有無ではなく、その画像を自分でどう扱うかで管理することになります。生成 AI 側の考え方は Canva と Adobe Express の違い でも触れています。


自分の案件がどれに当たるかを判定する

ここまでの条文を、実際の判断手順に落とします。上から順に見て、最初に「はい」になったところで必要なものが決まります。

  1. その素材を売り物そのものにするか — Tシャツ、雑貨、テンプレート販売など。はいなら拡張ライセンスが必要で、無料サービスは全滅します
  2. 50 万部を超えて刷るか、50 万人以上に配信するか — はいなら強化ライセンス以上が必要です
  3. 人物が特定できる形で写っているか — はいなら、その素材の肖像権処理がされているかを個別に確認します。無料サービスでは保証されていません
  4. 商標やブランドが写り込んでいるか — はいなら、素材のライセンスとは別に権利者側のルールを確認します
  5. いずれも「いいえ」か — Web 掲載や社内資料であれば、無料サービスの標準の範囲で収まります

クライアントワークでは、3 と 4 が事故の入口になります。納品してから相手先の法務に止められると、差し替えの費用と時間はこちら持ちになりがちです。使う前に判定し、判定した結果を記録に残すところまでを一連の作業にしておくと、あとで説明ができます。

記録に残すのは、素材のURL・取得日・サービス名・ライセンスの種類の 4 つで足ります。素材の管理そのものを効率化したい場合は、Photoshop を外部から操作する方法 のように、作業側を自動化する手もあります。


まとめ

商用利用できるかどうかは、料金ではなくライセンスの範囲で決まります。無料サービスは対価を免除しているだけで、写っている人や商標の権利までは渡していません。有料サービスも標準の段階ではグッズ化を認めておらず、Adobe Stock の場合は通常・強化・拡張の 3 段階があります。

まずやることは、手元の案件を上の 5 項目で判定してみることです。1 と 2 が「いいえ」なら、無料サービスのままで問題ありません。「はい」が出たときにはじめて、有料の契約を検討する段階になります。

商用利用できる素材の選び方|無料と有料でライセンスはどう違うのか

よくある質問

Q. 無料の素材でも商用利用はできますか?

できます。写真AC・Unsplash・Pixabay・いらすとやは、いずれも商用利用を認めています。ただし認めているのは素材を使うことまでで、グッズにして売ることは 4 サービスとも禁止されています。写り込んだ人物や商標の権利も含まれません。

Q. クレジット表記は必要ですか?

今回調べた範囲では、無料 4 サービスと Adobe Stock・Shutterstock はいずれも原則不要です。例外は Adobe Stock のエディトリアル素材で、指定されたクレジットラインの併記が必要です。PIXTA も原則不要ですが、映像配信で所定の表示ができない場合はエクストラライセンスが必要になります。

Q. 素材を使ったグッズを販売したい場合はどうすればよいですか?

拡張ライセンスにあたるものが必要です。Adobe Stock では拡張ライセンス、Shutterstock では Enhanced にあたります。PIXTA は定額制でダウンロードした素材をエクストラライセンス用途に使えないため、購入方法から選び直すことになります。無料サービスはいずれも不可です。

Q. Adobe Stock は解約したあとも素材を使い続けられますか?

従量制のプランでライセンスを取得した素材は使い続けられます。ただし未使用のクレジットは失効します。無制限プランは扱いが異なり、公式のFAQに「未使用のダウンロード済みアセットをプラン終了後に使用することはできません」と記載があります。

Q. Adobe の補償があれば生成 AI で作った画像も安心ですか?

個人向けプランでは対象外です。Firefly の出力に対する補償は Creative Cloud for teams または enterprise の顧客で、かつ特定のプランを購入している場合に限ると利用条件に明記されています。個人で Adobe Stock を契約して得られるのは、Stock 素材に対する補償です。

Q. 無料素材を使って権利侵害になることは実際にありますか?

政府広報オンラインは 2026 年 1 月 27 日の記事で、フリー素材サイトの画像をアイコンに使う例などを挙げ「これらはいずれも著作権侵害に当たる可能性があります」と説明しています。あわせて「無料で使える曲や画像でも、利用条件をしっかり確認し、ルールに従った使い方をすることが大切です」としています。

Q. 素材をAIの学習に使うことはできますか?

写真AC・Unsplash・Shutterstock はいずれも規約で禁止しています。Pixabay は利用者側の学習利用について同様の制限を置きつつ、運営側が投稿素材を機械学習に使用する旨を定めており、投稿者はオプトアウトできます。学習データとして扱う予定があるなら、サービスごとに条文を読み直してください。


本記事の出典(すべて 2026 年 9 月 4 日取得)


関連記事