Claude Codeを多くのプロジェクトで使い続けるコツは、人は判断と公開だけを受け持ち、実行と報告はAIに任せる形にして、その様子を1つの画面に集めることです。筆者は2026年11月時点で、26のプロジェクトと23本の自動実行(止めているものを含めると30本)を、自分専用のダッシュボード1画面で回しています。
プロジェクトが増えると、ターミナルを何枚も開いて「どこで何が動いているか」「どれが自分の返事を待っているか」を探すだけで時間がなくなります。夜中に動かした自動実行の結果を、朝にひとつずつ確かめるのも手間です。
この記事では、筆者が実際にどうダッシュボードを使っているかを、朝・日中・夜の流れに沿って紹介します。ダッシュボードの設計と作り方はClaude Codeで複数プロジェクトを管理する|AIと人間の共同管理ダッシュボードで解説しているので、この記事では「使い方」に絞ります(筆者は社内でこの画面をCOMMAND DECKと呼んでいます)。
結論:人は判断と公開だけ、AIは実行と報告
運用の軸は、人がやることを「判断」と「公開」だけに絞ることです。調べる・作る・直す・報告を書くまではAIに任せ、人は画面に集まった判断の要るものだけを片付けます。
| 時間帯 | AIがやること | 人がやること |
|---|---|---|
| 朝 | 夜のあいだの自動実行の報告をそろえておく | 要対応の帯(失敗・判断待ち・返事待ち)を片付ける |
| 日中 | 指示を受けたプロジェクトで作業し、終わったら結果を残す | 指示と続きを送り、結果を読む |
| 夜・外出中 | 決まった時刻に自動実行を回し、報告を残す | 何もしない |
| 週に1回 | 各プロジェクトを見回って、自動化・改善・片付けを提案する | 提案を採用するか見送るかを決める |
役割分担の考え方そのものは、AI社員の職種一覧|1人会社が実際に配属できる仕事とその境界でも整理しています。
自分専用ダッシュボードとは
自分専用ダッシュボードとは、自分のPCで動くClaude Codeの会話と自動実行の状態を、1つの画面にまとめて見るための自作のWebページです。Claude CodeのCLIと会話ログ、自動実行の報告の控えを読むだけの作りで、自分のPCの中(127.0.0.1)だけで動かしています。
ターミナルに慣れたエンジニアなら、Claude Code公式のagent viewでも会話の状態は見られます。筆者が自作したのは、自動実行の報告や判断待ちまで同じ画面に集めて、ターミナルを開かずに判断だけを済ませたかったからです。作り方はClaude Codeで複数プロジェクトを管理する|AIと人間の共同管理ダッシュボードにまとめています。
1画面に並んでいるもの
画面には、上から「要対応」「秘書の提案」「プロジェクトのカード」「判断待ち」「自動実行」の5つが並びます。上にあるものほど、人がすぐ見るべきものです。

| 欄 | 出ているもの | 人がすること |
|---|---|---|
| 要対応 | 返事待ちの会話・判断待ち・自動実行の失敗と停止をまとめた帯(無いときは出ない) | 押して、その場所へ飛ぶ |
| 秘書の提案 | 週1回の見回りで見つかった、自動化・改善・片付けの提案 | 採用・あとで・見送りを選ぶ |
| プロジェクトのカード | プロジェクトごとの状態(作業中・返事待ちなど)、自動実行の本数、最新の報告の日時、最後のやり取り | 選んで指示や続きを送る |
| 判断待ち | 自動実行の報告から拾った「人の判断が要る事項」 | 一言で返すか、対応済みにする |
| 自動実行 | ジョブの状態と、失敗・停止の件数 | 問題があるときだけ見る |
カードの並び順は、ドラッグで決めた順に固定しています。状態が変わるたびにカードが動くと、どこに何があるかを毎回探すことになるからです。新しいプロジェクトは末尾に足されるので、よく触るものだけを前に寄せておけば、数が増えても位置で覚えられます。
朝・日中・夜の回し方
1日の流れは、人が判断を片付ける朝、指示を送る日中、AIに任せる夜(人がいない時間)の3つに分かれます。
朝:要対応の帯から片付ける
朝は、画面の一番上にある「要対応」の帯に出ているものを、次の順に選んで片付けます。帯が消えたら、その朝に人がやることは終わりです。
- 自動実行の失敗・停止を先に見る。失敗のまま次の時刻を迎えると、同じ失敗が積み重なるため
- 判断待ちに答える。答えないと、そのジョブが次の回も同じ判断を待って止まるため
- 返事待ちの会話に答える。前の日に投げた指示の続きが、ここで動き出す
この順番にしているのは、放っておくと被害が広がるものから片付けるためです。どれも無い朝は、帯そのものが表示されません。
日中:プロジェクトへ指示と続きを送る
日中は、カードを選んで指示を送り、終わったら結果を読む、の繰り返しです。指示欄では「新しい会話」と「続き」を切り替えられるので、「さっきの続きで直して」もターミナルに戻らずに送れます。

筆者がよく使う送り方は、次の5つです。
| 使い方 | 送る指示の例 | 送ったあと |
|---|---|---|
| 朝の一斉点検 | 「引き継ぎを読んで、今日やることと止まっているものを3行で報告して。作業はまだしないで」 | 完了になったカードから会話を開いて読む |
| 定型作業の投げ込み | スキルにしてある作業の名前を1行で | 進み具合だけを見る |
| 重い作業を寝る前に | 全件の調査や監査など(「公開しない/下書きまで」と書き添える) | 朝に会話を読む |
| 思いつきの置き場 | 「このネタをあとで検討して、タスクに積んでおいて」 | そのプロジェクトのClaudeがメモに残す |
| 続きの指示・返事待ちへの返答 | 「さっきの続きで直して」や、確認への答え | 画面の中で完結する |
思いつきをメモアプリに書く代わりに、そのプロジェクトのClaudeに直接メモさせると、次にそのプロジェクトを開いたときに引き継ぎとして読まれます。
夜:自動実行が回り、報告がカードに集まる
夜や外出中など人がいない時間は、決まった時刻に自動実行が動き、その報告がカードに集まります。実際には日中に動くジョブも多く、人が画面を見ていなくても回ることが大事です。筆者の環境では、macOSのスケジューラ(launchd)から claude -p(人の操作なしで動かす非対話モード)を起動しています。

報告は、Claude自身ではなく、Claudeを起動したスクリプトから送ります。Claudeに「最後に報告して」と頼むだけだと、Claudeが途中で落ちた回や時間切れで止めた回は何も届かず、「何も起きなかった」のか「失敗した」のかを朝に区別できないからです。公式ドキュメント(Run Claude Code programmatically)のとおり、claude -p は成功すると終了コード0、失敗すると0以外で終わるので、スクリプトはその値で結果を「完了・打ち切り・失敗」に分けて送れます。
Claudeには、最後に「要旨・区分・内容」の3項目を決まった囲みで書かせます。スクリプトはこの囲みを取り出してメールの本文にし、控えを残します。ダッシュボードはその控えを読んで、カードに「報告 日時」を出します。
=== 完了報告 ===
要旨: 下書きを1本作成。公開はしていない
区分: 新規
内容:
- [新規] 「〇〇の使い方」の下書きを作成
- [なし] 依存パッケージの更新は対象なし
=== ここまで ===何もしなかった回も「区分: なし」と理由を書かせて送ります。報告が来ない朝に「何もなかった」のか「ジョブが動いていない」のかを区別するためです。
判断を軽くする2つの仕組み
人の判断を軽くするために、報告から判断の要る事項だけを拾う「判断待ち」と、仕事の種を見つける「秘書の提案」の2つを用意しています。
判断待ちに一言で返す
自動実行の報告に「人の判断が要る事項」があれば、ダッシュボードがそれだけを拾って「判断待ち」に並べます。人は報告を全部読まずに、判断の要るところだけを見れば済みます。

- 自動実行の報告に、判断の要る事項を決まった見出しで書かせておく
- ダッシュボードが最新の報告からその節を拾い、判断待ちに並べる
- 人が一言で返す(例:「推奨案で進めて」「2つ目は見送り」)
- 返した内容と元の報告が、そのプロジェクトで新しく起動したClaudeに渡り、作業が始まる
- 返事が要らないものは「対応済み」を押して消す
ポイントは、返事を受け取るのが自動実行のジョブではなく、そのプロジェクトのClaudeであることです。プロジェクトのCLAUDE.mdやメモリを読んだうえで動くので、一言の返事でも文脈がずれません。
秘書の提案:週1回の見回りで仕事を見つけさせる
週に1回、「秘書」役のClaudeが全プロジェクトを見回り、やったほうがよいことを提案します。筆者の環境では毎週月曜の朝に動くよう設定していて、前回の見回り以降に動いたプロジェクトだけを読みます。
| 提案の種類 | 探すもの |
|---|---|
| 自動化 | 人が同じ種類の指示を何度も手で出している作業で、決まった時刻に回せるもの |
| 改善 | 失敗・停止が続くジョブ、毎回同じ警告が出る報告、役目を終えたのに動き続けているジョブ |
| 片付け | コミットやpushをされずに残った変更、終わったのに残っているタスク |
秘書には何も変更させず、読んで提案を書くことだけを許しています。提案には「採用されたらそのプロジェクトのClaudeに送る指示文」まで書かせ、人が「採用」を押すと、送る前に指示文を確認・編集する画面が出ます。送ると、そのプロジェクトで作業が始まります。
試しに手で回した見回りで出た5件は、未コミットのまま残っていた変更の整理、役目を終えた1回きりのジョブの停止、仕組みを変えたあとに古くなった説明文の更新などで、すべて採用しました。人が気づきにくい「残りもの」を拾ってくれるのが、秘書の一番の役目です。
任せる範囲の線引き:筆者の実例
どこまで任せるかは、ジョブごとに「止める位置」を指示文に書いて決めています。考え方は共同管理ダッシュボードの記事の「どこまでAIに任せるか」で整理しているので、ここでは実際の分け方だけを紹介します。
- 公開まで任せている例:別サイトのブログの自動投稿は、テーマ選びから公開・インデックス登録の申請までを任せ、毎回の報告で事後に確かめている
- 下書きで止めている例:このサイト(CodeQuest.work)の新しい記事は、下書きまでをAIが作り、公開は人が押す
- 提案で止めている例:秘書の見回りは提案を書くだけで、実行は人が採用したときだけ
任せる範囲は、最初は狭くして、報告を読んで問題が無いと確かめられたものから少しずつ広げています。AIに仕事を任せる組織の作り方は「AI組織」は組織図から作ると失敗する|1人会社をAI会社化する正しい順序でも紹介しています。
プロジェクトが増えても回る理由
26のプロジェクトを1画面で回せているのは、プロジェクトを登録する作業が無い作りだからです。Claude Codeを使ったフォルダを会話ログから自動で拾ってカードにするので、プロジェクトが増えても設定は増えません。26は上限ではなく、筆者がいま使っている数です。
カードの出し方・並び順・状態の見せ方など、数が増えても回る作りの分かれ目はClaude Codeで複数プロジェクトを管理する|AIと人間の共同管理ダッシュボードで解説しています。
安全に使うための注意点
人が見ていない時間にAIが動く以上、事故を防ぐ決まりを先に作っておきます。公式ドキュメント(Choose a permission mode)でも、autoモードは許可の確認を減らすものの、安全を保証するものではないと明記されています。
- ダッシュボードも自動実行も、自分が管理するPCとアカウントでだけ動かす
- パスワードやAPIキーはスクリプトに書かず、環境変数やキーチェーンで渡す
- すべての確認を飛ばす
bypassPermissionsは使わない(公式ドキュメントでも、隔離したコンテナや仮想マシン専用とされている) - 夜中のジョブに外部のWebページやメールを読ませる場合は、公開・送信をさせない
FAQ
自分専用ダッシュボードでのClaude Codeの運用について、よくある質問をまとめました。
Q. 26のプロジェクトで、Claudeを同時に動かしているのですか?
いいえ。同時に動いているのは、指示を送ったプロジェクトと、自動実行の時刻が来たプロジェクトだけです。ほとんどのカードは待機の状態で、必要なときに選んで指示を送ります。
Q. 自分専用ダッシュボードを作るのに、どれくらいかかりましたか?
最初の版は1日で作りました。そのあと約3週間で、続きの指示・判断待ち・自動実行の一覧・秘書の提案を、使いながら少しずつ足しています。
Q. 自動実行の報告は、どこで読みますか?
メールとダッシュボードの両方で読めます。メールは件名に結果と要旨が入るので、件名だけで開くかどうかを決め、詳しく見たいときはダッシュボードのカードから報告の控えを開きます。
Q. 秘書の提案を採用すると、すぐに実行されますか?
採用を押すと、まず送る指示文を確認・編集する画面が出ます。内容を確かめて送ったときに初めて、そのプロジェクトでClaudeが作業を始めます。
Q. ダッシュボードを作らなくても、同じ運用はできますか?
一部はできます。会話の状態はClaude Code公式のagent viewで見られ、自動実行の報告はメールで受け取れます。判断待ちや秘書の提案まで1か所にまとめたくなった時点で、自作を考えると手間に見合います。
まとめ
Claude Codeを多くのプロジェクトで回すときは、人は判断と公開だけを受け持ち、実行と報告をAIに任せて、その様子を自分専用ダッシュボードの1画面に集めると続けやすくなります。
- 朝は要対応の帯を、失敗 → 判断待ち → 返事待ちの順に片付ける
- 日中はカードを選び、指示と続きを送る
- 人がいない時間は自動実行に任せ、報告はClaudeの外のスクリプトから必ず届くようにする
- 判断待ちには一言で返し、そのプロジェクトのClaudeに続きを任せる
- 週1回の秘書の見回りで、自動化・改善・片付けの種を拾う
