生成AIで写真から動画を作る|無料枠で3本作って本番サイトに載せた


生成AIの無料枠を使えば、手持ちの写真から数秒の動画を作ってWebサイトやSNSに載せられます。ただし「無料枠で何本作れるか」は、公表されているクレジット数からは計算できません。実際に手元に残る本数を決めるのは付与量ではなく、1本を仕上げるまでに何回作り直すかだからです。

無料枠を比較した記事の多くは、各社が公表している付与クレジット数を並べて終わっています。しかしそこには、生成したうちの何本が実際に使い物になったのかが書かれていません。クレジットが多いプランほど得に見えて、出力が使えなければ手元には何も残らないのです。

この記事では、2026年1月にAdobe Firefly経由でVeo 3.1を使い、人物写真から8秒の動画を作って自社サイトへ実際に投入した記録を扱います。生成された動画の中身を計測した値、生成物からモデルを特定する方法、無料枠で作ったものを商用利用できるのかという条件までを、2026年8月時点の各社の公式ドキュメントと突き合わせて整理しました。


無料枠の実力は、付与クレジット数ではなく歩留まりで決まる

結論から書きます。写真から動画を作る用途で無料枠を試すなら、生成できる回数の多さではなく、1回目で使える出力が出る確率を見るべきです。同じ「3回分」の無料枠でも、手元に残る成果物の数は3倍変わりました。

使ったもの生成した回数採用した本数採用しなかった理由
Adobe Firefly経由のVeo 3.13回3本作り直しはほぼ発生せず
Sora3回程度1本出力が粗く、そのまま使えなかった

付与量だけを見れば、どちらも「数回試せる無料枠」で違いはありません。ところが実際に公開できる品質に達したのは、片方が3本、もう片方が1本でした。無料枠の価値は、付与されるクレジット数と歩留まりの掛け算で決まります。

ここで重要なのは、歩留まりは公式には一切公表されていないという点です。各社が出しているのはクレジット数と1回あたりの消費量までで、そのうち何本が使えるかは実際に試した人しか知りません。だからこそ、無料枠は「多く試せるところ」ではなく「一発で決まるところ」を選ぶ価値があります。


作った動画は、いまも本番サイトで動いている

この記事で扱う3本は、試作で終わったものではありません。制作チームRINIAのコーポレートサイトで、メンバー紹介セクションの素材として使っています。一覧に並んだ静止画にマウスを重ねると、その場で動画へ切り替わる作りです。

元になっているのは、それぞれのメンバーを撮った写真1枚だけです。プロンプトから世界観を丸ごと作り出すのではなく、すでにある写真に動きを付ける使い方をしています。動画素材をゼロから作ろうとすると破綻しやすい一方、手元の写真を動かす用途なら、無料枠でも実用に耐える結果が出ました。

実物を見られる形で公開しているので、この記事に書いた品質の判断は読者が自分の目で確かめられます。以降で扱う計測値は、すべてこの3本のファイルから取ったものです。


生成された動画の中身を実際に計測する

生成AIのサービス画面には、出力の詳細な仕様が表示されないことがあります。手元に落としたファイルを直接調べれば、解像度もフレームレートも音声の有無も確定できます。

ffprobe -v error -show_entries format=duration,size:stream=codec_name,width,height,r_frame_rate -of default=noprint_wrappers=1 video.mp4

3本を調べたところ、仕様は完全に揃っていました。

項目実測値(3本とも共通)
解像度1280×720
再生時間8.000秒
フレームレート24fps
映像コーデックH.264
音声AAC 48kHz ステレオ 256kbps(実際に音が入っている)

注目したいのは、無音のダミーではなく実際に音が入っていた点です。Webサイトのホバー演出では音を鳴らせないため、この音声トラックは最初から使い道がありません。それでもファイルには含まれた状態で出力されます。

ファイルサイズは3本で揃いませんでした。同じ解像度・同じ尺でも、動きの量が多いほど大きくなります。人物が歩く映像がもっとも重く、静かな映像との差は2倍以上でした。

映像の内容ファイルサイズ
人物が歩く(動きが大きい)4.82MB
人物が振り返る(動きは中程度)3.03MB
人物の表情が動く(動きが小さい)1.71MB
合計9.56MB

8秒の動画3本で合計9.56MBは、ページに置く素材としては軽い数字ではありません。この扱いについては後半の実装の章で触れます。


無料枠の制限は「解像度が低い」だけではない

無料枠は画質が落とされている、と一括りに語られがちですが、公式ドキュメントを読み比べると制限のかけ方はサービスごとに違います。解像度で絞るところ、透かしを入れるところ、順番待ちで差をつけるところ、後から高解像度に上げる機能だけを有料にするところがあります。

サービス無料枠での扱い制限のかけ方出典
Pika480pのみ(有料は上位解像度も選べる)解像度Pika 公式料金ページ
Luma Dream Machineドラフト解像度に限定解像度Luma 公式FAQ
Runway生成は720p。有料と同じ透かし・生成量Runway 公式ヘルプ
Google Flow(Veo)生成は可能。1080pへの引き上げが有料限定アップスケール可否Google 公式ヘルプ

Runwayが分かりやすい例です。無料でも生成解像度は有料と変わりません。無料と有料を分けているのは透かしと生成できる量であって、画質ではないのです。「無料だから粗い」と決めつけると、選択肢を無駄に狭めることになります。

逆にLumaはもっとも制限が強く、無料プランはドラフト解像度でしか生成できないと明記されています。同じ「無料で動画が作れる」でも、持ち帰れるものの質はここまで開きます。生成AI全般の現在地は主要生成AIの比較ガイドで整理しているので、サービス選びの前提として合わせて確認してください。


「Fireflyで作った」が指しているものを確かめる

今回の3本は、Adobe Fireflyの画面で作りました。ところが計測した尺は8.000秒です。Adobeの公式ヘルプによれば、Adobe自社のFirefly Video Modelが生成する動画は24fps・5秒が既定の設定だと説明されています。数字が合いません。

現在のFireflyは、Adobe自社モデルだけを動かす場所ではなくなっています。他社が提供するモデルを同じ画面から呼び出せる作業環境になったため、「Fireflyで作った」という言い方だけでは、どのモデルが生成したのかは決まりません。

生成物そのものにモデル名が記録されている

Fireflyで生成したファイルには、コンテンツ認証情報(Content Credentials)が埋め込まれます。ここに生成に使われたモデルの情報が入るため、記憶に頼らず確認できます。

strings -a video.mp4 | grep -i "com.adobe.model"

3本すべてから同じ値が出てきました。

記録されていた項目意味
com.adobe.modelIdveo生成に使われたモデル
com.adobe.modelVersion3.1-generateモデルのバージョン
com.adobe.typeremoteProvider.3rdPartyAdobe以外が提供するモデル
com.adobe.digitalSourceTypetrainedAlgorithmicMediaAIが生成した素材である表示

Fireflyの画面で作った動画の中身は、GoogleのVeo 3.1でした。8秒という尺も、音声が入っていたことも、Adobe自社モデルではなくVeoの仕様だと考えれば筋が通ります。作った本人の記憶ではなく、ファイル自身が生成元を記録していたわけです。


無料枠で作ったものを、そのまま仕事で使ってよいか

どのモデルが生成したかを確認する意味は、ここにあります。商用利用が認められる範囲は、使ったサービスではなくモデルの提供元によって変わるからです。

Adobeは、パートナーモデルについて「Partner models are not developed by Adobe. You are responsible for determining whether a model is appropriate for your project.」と明記しています(Adobe 公式ヘルプ・2026年8月3日更新)。自社モデルで生成したものは商用利用に適しているとする一方、他社モデルの出力が用途に合うかどうかは利用者の判断に委ねる、という立て付けです。

つまり同じFireflyの画面から出力しても、Adobeの説明が及ぶものと及ばないものに分かれます。クライアントの案件で使うのであれば、どちらだったのかを説明できる状態にしておく必要があります。

サービスごとに条件は大きく違う

もっとも明快なのはRunwayです。公式ヘルプに「As a user on any of our plans (Free, Standard, Pro, Max, or Unlimited)… you retain ownership and all your rights to content that you upload and generate on Runway.」とあり、無料プランを含めて生成物の権利は利用者に残ると書かれています(Runway 公式ヘルプ Usage rights)。商用利用についての説明でも、広告を含む用途に制限を設けないとしています。

一方、Luma Dream Machineは有料プランの機能一覧に商用利用が挙げられています(Luma 公式ページ)。無料で試したものをそのまま仕事に流用してよいとは書かれていないため、業務で使うなら契約プランの確認が要ります。

提供元無料枠で作ったものの扱い
Runway全プランで権利は利用者に残ると明記。商用利用の制限なし
Adobe(自社のFireflyモデル)商用利用に適しているとしている
Adobe(パートナーモデル)用途に合うかは利用者が判断する、としている
Luma Dream Machine商用利用は有料プランの機能として案内されている

いずれの条件も予告なく変わります。ここに挙げたのは2026年8月に各社の公式ページで確認した内容なので、実務で使う前には必ず提供元の最新の記載を見てください。


試したサービスが、翌年には消えていることがある

今回の比較対象だったSoraは、すでに使えません。OpenAIの公式ヘルプには「The Sora web and app experiences were discontinued on April 26, 2026.」とあり、Webとアプリの提供は2026年4月26日に終了しています。APIについても2026年9月24日に終了予定と案内されています(OpenAI 公式ヘルプ)。

2026年1月に比較したときには当たり前に選択肢へ入っていたものが、半年余りで選べなくなったわけです。この分野で怖いのは価格の変動よりも、制作の手順そのものが再現できなくなることです。

そのため、生成物を扱うときは次の3点を残しておくと後で困りません。

  • 生成した動画ファイルそのもの。サービスが終了すると、履歴からの再ダウンロードもできなくなります。
  • 使ったプロンプトと元画像。別のサービスへ移るとき、同じ入力から作り直せます。
  • コンテンツ認証情報が入ったままの原本。編集や再エンコードで消えることがあるため、加工前のファイルを別に保管します。

この移り変わりの速さは動画に限りません。モデル名や提供状況が短期間で入れ替わる状況についてはAI時代のWeb制作ガイドでも扱っています。


Webサイトに載せるときに効いたこと

生成した動画は、そのままの状態ではWeb用として最適化されていません。今回の3本も、合計9.56MBのまま置くには重い素材でした。

音声を削っても、思ったほど軽くならない

ホバーで再生する動画は音を鳴らせないため、まず音声トラックを削る判断になります。映像を再エンコードせずに音声だけを取り除いて計測しました。

ffmpeg -i input.mp4 -an -c:v copy output.mp4
映像の内容元のサイズ音声を削除後削減率
人物が歩く4.82MB4.56MB5%
人物が振り返る3.03MB2.77MB8%
人物の表情が動く1.71MB1.45MB15%
合計9.56MB8.79MB8%

全体では8%しか減りませんでした。映像側のビットレートが高いため、音声が占める割合が小さいからです。もとのファイルが軽いものほど削減率は大きく出ますが、重いファイルの対策にはなりません。容量を本気で落とすなら、音声ではなく映像の再エンコードに手を付ける必要があります。

読み込みを遅らせて、静止画を先に見せる

ホバーで切り替える作りなら、最初に見えているのは静止画です。動画の読み込みを先送りにして、表示の速さを落とさない組み方にします。

  • preload=”none” を指定し、ページ表示の時点では動画本体を取りに行かせない。
  • poster属性に静止画を渡し、再生前の見た目を静止画で成立させる。
  • muted と playsinline を付ける。音声を削っていても、スマートフォンでの自動再生には必要になります。
  • ホバーできない端末での代替を用意する。タッチ操作の環境ではホバーが発生しないため、静止画のままでも情報が伝わる構成にしておきます。

動きを足したページは、見た目の印象と引き換えに表示速度と離脱の指標へ影響します。直帰率の数字をどう読むかでも触れたとおり、指標は単体では判断材料になりません。動画を入れる前後で計測し、実際の変化を見てから続けるかを決めるのが確実です。


無料枠を使い切ったあとの選択肢

無料枠は、試すためのものであって作り続けるためのものではありません。使い切ったあとに取れる道は3つです。

  • 回復を待つ。Adobe Fireflyの無料枠は1日ごとに回復する形式です。ただし付与される回数は公開されていないため、何本作れるかを事前に計画できません。
  • 別のサービスへ移る。権利関係をはっきりさせたい場合、無料プランでも生成物の権利が利用者に残ると明記しているRunwayは移り先の候補になります。
  • 有料プランへ上げる。使う本数が読めているなら、1本あたりの単価で判断できます。

有料に上げた場合の目安を出しておきます。Adobe Fireflyの最も安いプランは月額1,580円(税込)で2,000クレジットが付きます。動画生成の消費量はモデルと解像度で変わり、Adobeの生成クレジットのFAQに単価が掲載されています。ここから8秒の動画に換算すると次のようになります。

使うモデル8秒あたりの消費月に作れる本数1本あたり
Veo 3.1 Fast80クレジット25本約63円
Veo 3.1400クレジット5本約316円

同じ8秒でも、選ぶモデルで5倍の開きが出ます。ここでも効いてくるのは歩留まりです。安いモデルで5回作り直すより、高いモデルで1回に決まるほうが結果的に安く済むこともあります。撮影や外注と比べる前に、まず自分の用途でどちらに転ぶかを試しておく価値があります。

動画以外のクリエイティブをどう用意するかはCanva・Figma・STUDIOの使い分けガイドにまとめています。静止画のバナーやLPまで含めて考えるなら、そちらも合わせて検討してください。


まとめ

手持ちの写真から数秒の動画を作る用途であれば、無料枠でも公開に耐えるものが手に入ります。実際に作った3本は、いまも本番サイトで動き続けています。

  • 無料枠の実力は付与クレジット数ではなく、1回目で使える出力が出る確率で決まる。
  • 無料と有料の差は画質とは限らない。透かし、生成量、アップスケールの可否など、制限のかけ方はサービスごとに違う。
  • どのモデルが生成したかで商用利用の条件が変わる。生成物に記録された情報から後から確認できる。
  • 使ったサービスは終了することがある。生成物・プロンプト・元画像は手元に残しておく。
  • Webに載せるなら容量の対策が要る。音声を削るだけでは足りない。

まず自分の写真を1枚用意して、無料枠で1本作ってみるところから始められます。そこで出た結果が、有料に上げる価値があるかどうかの判断材料になります。

動画を組み込んだサイトの設計や実装を相談したい場合は、この記事で扱った3本を実際に使っているRINIAへどうぞ。


よくある質問

Q. 無料枠だけで、公開できる品質の動画は作れますか?

手持ちの写真に動きを付ける用途であれば作れます。実際に無料枠で生成した8秒の動画3本を、企業サイトのメンバー紹介で公開しています。ただしプロンプトだけで映像をゼロから作る用途は難易度が上がり、作り直しの回数も増えます。

Q. Adobe Fireflyの無料枠では、動画を何本作れますか?

公式には公開されていません。Adobeの無料プランはクレジット制ではなく1日ごとに回復する回数制で、その回数が案内されていないためです。実際に試した範囲では、8秒の動画を3本作った時点で上限に達しました。作り直しが発生すればこの本数はさらに減ります。

Q. 写真から動画を作るなら、どのサービスが向いていますか?

実際に比較した範囲では、Adobe Firefly経由で使えるVeo 3.1がもっとも作り直しの少ない結果でした。ただし権利関係を明快にしたい場合は、無料プランでも生成物の権利が利用者に残ると明記しているRunwayが選択肢になります。品質と条件のどちらを優先するかで答えは変わります。

Q. 生成した動画を、そのまま広告や自社サイトに使ってよいですか?

使ったモデルの提供元がどう定めているかによります。Adobeは自社モデルの出力を商用利用に適しているとする一方、パートナーモデルの出力については用途に合うかを利用者が判断するとしています。Runwayは無料プランを含めて生成物の権利が利用者に残ると明記しています。条件は変わるため、公開前に提供元の記載を確認してください。

Q. 自分が使ったモデルを、あとから確認できますか?

できます。Adobe Fireflyで生成したファイルにはコンテンツ認証情報が埋め込まれ、そこに生成へ使われたモデル名とバージョンが記録されています。ターミナルで文字列を検索するだけで、Adobe自社モデルとパートナーモデルのどちらだったかを判別できます。

Q. 生成した動画は、そのままサイトに載せて問題ありませんか?

容量の対策をしてから載せてください。8秒の動画3本で合計9.56MBあり、そのまま置くと表示速度に影響します。音声トラックを削っても8%程度しか軽くならないため、映像の再エンコードと、読み込みを遅らせる指定を合わせて使うのが現実的です。


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