ディスプレイ広告の直帰率を検索すると、平均56.50%という数字が見つかります。一方で運用側からは「80〜85%は通常の範囲です」と説明されることもあります。手元の80%がどちらの話なのか、判断がつきません。
この56.50%は、米国CXLが2017年8月に公開したユニバーサルアナリティクス(UA)基準の数値で、サンプル数も母集団も公開されていません。GA4の提供開始は2020年10月です。定義が違うため、GA4の80%と並べることはできません。
GA4基準でチャネル別の平均値を公開している調査は、調べた限り存在しませんでした。「80〜85%は通常」という説明も同じで、GA4の直帰率は各アカウントの計測設定で動くため、他社の数字をそのまま自社に当てはめることはできません。外部のデータでは答えが出ません。
答えが出せるのは、自社の中に基準線を引いた場合だけです。同じLPを、すでに自社を知っている人が見たときの数字——リターゲティングの直帰率が、その基準線になります。80%という絶対値ではなく、リターゲティングとの差で配信面を選別する。これがこの記事の結論です。根拠はGoogle公式ドキュメントで確認できる仕様と、発行元をたどれる調査だけに絞っています。
ディスプレイ広告の直帰率80%は正常なのか
「正常か異常か」を外部の数字で判定することはできません。ただし、ディスプレイ広告で80%前後が頻繁に出ること自体は、媒体の仕組みから説明がつきます。この2つは別の話です。
そこで、問いを2つに分けます。
- この80%は、媒体の構造で説明がつく範囲なのか
- その中に、切るべき配信面が混ざっていないか
1つ目は媒体の仕組みの話なので、次の章で説明します。2つ目が実務で手を動かす部分で、ここに基準線が要ります。判断できるのは絶対値ではなく、自社データの中での差分だけです。
この記事は、先に手順(構造の説明 → 基準線の引き方 → 判定)を示し、そのあとで「なぜ外部の平均値が使えないのか」を原典まで辿って示します。根拠から読みたい場合は後半へ進んでください。

なぜディスプレイの直帰率は構造的に高くなるのか
比較できないとしても、高くなる理由は仕組みから説明できます。ディスプレイ広告のクリックは、質の違うものが混ざっているためです。
| 層 | どういうクリックか | 着地後の反応 |
|---|---|---|
| 誤クリック | アプリ内バナーに指が当たった | 即座に戻る。ほぼ全員が直帰 |
| 反射クリック | 画像に反応して押したが、着地して広告だと気づく | 数秒で戻る。ほぼ全員が直帰 |
| 弱い興味 | 少し気になって押し、第一画面を見て判断する | 10秒に届かず直帰する割合が高い |
| 見込み客 | 内容を読む | 10秒を超えるため直帰しない |
ディスプレイ広告は「探しに来た人」ではなく「見せられた人」に配信されるため、上の3層の比率が構造的に大きくなります。4層目が2割いれば、それだけで直帰率80%です。8割が失敗したのではなく、そもそも見込み客ではない層が最初から含まれている、という読み方になります。
10秒のしきい値がそこに上乗せされる
ここに10秒のしきい値が乗ります。表示に3秒かかるページなら、読める時間は残り7秒です。内容を読んで判断したのではなく、しきい値に届かなかっただけの人も直帰に含まれます。ディスプレイはモバイル比率が高く回線も選べないため、表示速度がそのまま直帰率を作っている場合があります。
同じLPでも流入の構成が違えば変わる
検索広告と比べると差がはっきりします。検索広告はそのキーワードを自分で入力した人に配信されるため、誤クリックと反射クリックの層がほぼ存在しません。同じLPでも、流入の構成が違うだけで直帰率は変わります。検索の直帰率と並べて「ディスプレイは悪い」と判断できない理由がここにあります。
直帰率は「成果指標」ではなく「配信面の選別指標」
ここまでの内容から、直帰率の使いどころが絞られます。絶対値ではなく差分で使う、という一点です。
| 使い方 | 成立するか | 理由 |
|---|---|---|
| 全体の直帰率を他社平均と比較する | 不可 | 計測設定も母集団も違う |
| 全体の直帰率を単体で成果判定に使う | 不可 | 媒体特性で高くなるのが正常 |
| 配信面・オーディエンス別に割って比較する | 可 | 切るべき面が特定できる |
| 同一配信の時系列変化を見る | 可 | 急変は配信面の変化か計測破損の兆候 |
配信面ごとに割ったとき、直帰率が極端に高い塊が出てきます。典型的なのがアプリ面の誤クリックです。判別の目安はクリック率が不自然に高いのに直帰率も極端に高いという組み合わせです。興味があってクリックされているなら通常この2つは逆方向に動くため、両方が高い面は誤クリックを疑う根拠になります。
ディスプレイは配信面が多数に散る一方で、コストは上位のごく一部の面に偏ります。この棚卸しが運用の実務の大半を占めます。直帰率は、その判断を数日で下すための材料になります。コンバージョンを待つと数週間かかるため、選別のスピードが変わります。
基準線は業界平均ではなく自社のリターゲティングに置く
差分で使うと決めたなら、基準となる線が必要です。外部の平均値が使えない以上、基準線は自社データの中から取るしかありません。そこで使えるのがリターゲティングの直帰率です。
前提として、リターゲティングもディスプレイ広告の一種です。配信される面は同じで、違うのはオーディエンスの指定だけです。過去の訪問者に絞ればリターゲティング、興味関心やトピックで広げれば新規向けの配信になります。
リターゲティングの直帰率は、自社を既に知っている人が同じLPを見たときの数字です。同じ計測設定・同じLP・同じ測り方なので、比較が成立します。実質的にそのLPの上限性能を示す値と考えられます。

- リターゲティングの水準に近い面・セグメントは、見込み客に当たっている。伸ばす
- 大きく離れた面・セグメントは、当たっていない。切る候補にする
- リターゲティングの直帰率が新規向けと同水準なら、それ自体が異常。LPかフリークエンシーか計測を疑う
この方法なら、外部から目標値を持ち込む必要がありません。達成可能性も担保されます。リターゲティングが70%の商材で新規配信に60%を求めても、原理的に届かないからです。
なおこの比較を成立させるには、リターゲティングと新規配信を別キャンペーンに分け、新規側から既存訪問者を除外しておく必要があります。混ざっていると基準線そのものが引けません。
直帰率80%を60%にするために必要な切り捨て量
「直帰率を下げる」という目標を立てたとき、実際にどれだけ切る必要があるのかは計算で出ます。直帰率は加重平均なので、想像よりはるかに大きく削ることになります。
100クリック・直帰80件の状態から始めます。切る対象の面の直帰率を90%と置くと、必要な切り捨て量xは次の式で求まります。
(80 − 0.9x) ÷ (100 − x) = 0.6 → x ≒ 67
全体の3分の2を切って、ようやく60%です。切る対象が直帰率100%の完全な誤クリック面だったとしても、必要な切り捨ては半分になります。「2割の不要な面を外せば2割下がる」という直感は成立しません。
| 項目 | 切る前 | 切った後 |
|---|---|---|
| クリック(コスト) | 100 | 33 |
| 直帰した人 | 80 | 20 |
| 読んだ人 | 20 | 13 |
| 直帰率 | 80% | 60% |
切ると母集団も同時に減る
コストが3分の1に減り、読んだ人は3分の2残ります。効率としては改善しますが、同時に母集団に積まれる人数も大きく減ります。切りっぱなしにすると、直帰率は綺麗だが規模が小さいという状態で止まります。
そのため運用は「切る」と「広げる」の両輪になります。空いた予算を、残った良質な面に似た未開拓のカテゴリへ再投資して量を戻す。これを繰り返すことで、質を保ったまま規模を維持できます。
直帰率を下げても意味がないケース
「直帰率を下げる」には性質のまったく違う2つの方法があり、片方は成果につながりません。
| 方法 | やること | 集める人が変わるか |
|---|---|---|
| 配信面・カテゴリの選別 | 直帰率の低い面を残し、高い面を切る | 変わる |
| LP側の直帰率最適化 | ファーストビューに動画を置く、情報を小出しにして滞在を伸ばす | 変わらない |
前者は「誰を集めるか」を変えているため、積まれるリストの質が上がります。後者は既に集めた人の滞在秒数を伸ばしているだけなので、リストの中身は1人も変わりません。直帰率は改善しても、コンバージョンは動かない状態になります。
直帰率は10秒を超えれば下がる指標です。目標値として掲げると、コンバージョンに関係のない方法で数字だけを動かせてしまいます。ここが、直帰率をKPIに据えてはいけない理由です。
LP改善そのものを否定するものではない
誤解のないように付け加えると、これはLPの改善そのものを否定するものではありません。第一画面の訴求や表示速度の改善は当然必要です。否定しているのは直帰率という数字を目標に据えることであって、LPを良くすること自体ではありません。
最終判定はリターゲティング経由のコンバージョン数で見る
直帰率は日々の選別に使う先行指標であり、成否そのものを決める指標ではありません。方向が正しいかどうかは、遅れて出てくる数字で確認します。
見るのは次の積です。
リスト増加数(量)× そのリストのコンバージョン率(質)= リターゲティング経由のコンバージョン数
| 状態 | 意味 | 判断 |
|---|---|---|
| リストが増え、リタゲ経由CVも増えている | 見込み客を集められている | 続ける |
| リストは増えたが、リタゲ経由CVが増えない | 集めているのが見込み客ではない | ターゲットを変更する |
| 直帰率は下がったがリタゲ経由CVも減った | 絞りすぎ | 再投資して量を戻す |
| リストが増えない | 配信量かクリエイティブの問題 | まず直す |
2行目に注意してください。「新規訪問が増えました」という報告だけでは成功に見えますが、そのリストから売上が立たなければ、質の低い人を集めただけになります。ここが繋がっているかを必ず確認します。
前提はコンバージョン計測が入っていること
なお、この判定はコンバージョン計測が入っていることが前提です。計測を入れず「認知目的なので成果は見ません」という運用にすると、数か月後に効果を問われた際に答える材料がなくなります。出稿前に整えるべき受け皿は、Web広告を出す前に整える4つの受け皿で扱っています。
なぜ外部の平均値では判定できないのか
ここまでの手順は「外部の平均値は使えない」を前提にしています。その根拠を示します。理由は定義が違うことと、自社の設定で数字が動くことの2つです。
GA4とUAでは、測っているものが違う
GA4の直帰率はエンゲージメント率の裏返しで、「エンゲージのなかったセッションの割合」と定義されています。エンゲージのあったセッションは、次の3つのいずれかを満たすものです。
- 10秒を超えて継続する(Lasts longer than 10 seconds)
- キーイベントが発生する(Has a key event)
- ページビューまたはスクリーンビューが2回以上発生する(Has 2 or more screen or page views)
出典:Googleアナリティクス ヘルプ「[GA4] Average engagement time」
一方UAの直帰率は「1ページのみを閲覧し、アナリティクスサーバーへのリクエストが1件だけだったセッション」の割合でした。滞在時間は判定に関与しません。5分読んで帰っても、UAでは直帰です。
| セッションの中身 | UAの判定 | GA4の判定 |
|---|---|---|
| 2ページ以上見た | 非直帰 | 非直帰 |
| 1ページのみ・10秒を超えて滞在 | 直帰 | 非直帰 |
| 1ページのみ・10秒以下 | 直帰 | 直帰 |
| 1ページのみ・イベントを発火・10秒以下 | 非直帰 | 直帰 |
4行目に注意してください。UAは「リクエスト数」が基準だったため、イベント計測を入れているページで訪問者がイベントを発火させると、単一ページのセッションでも直帰に計上されませんでした。つまり、どちらが必ず高くなるとは言い切れません。
実務上は2行目の影響が大きいため、GA4の方が低く出るのが一般的です。Webアナリストの小川卓氏がUAとGA4を並行計測した検証では、BtoBサイトで直帰率がUA 57.5%に対しGA4 48.3%、アパレルECサイトではUA 63.60%に対しGA4 27.94%という結果が報告されています(パソコン工房 NEXMAG・2023年4月4日)。同氏は「どれくらい小さくなるかはWebサイトによって大きく変わる」とも述べており、差分を一般化することはできません。
指標の公式な定義を画面で確認する手順は、Webマーケティング用語の公式定義をGA4とGoogle広告の画面で確かめる記事で詳しく扱っています。
GA4の直帰率は自社の設定で動く
こちらが、他社の数字と比較できない決定的な理由です。GA4の直帰率は、計測設定を変えるだけで数字が動きます。
| 動かせる設定 | 直帰率への影響 |
|---|---|
| エンゲージメント時間のしきい値(既定10秒・変更可能) | しきい値を上げるほど、直帰率は機械的に上がる |
| キーイベントの設定数 | 増やすほどエンゲージ判定に入り、直帰率は下がる |
| SPAやタブ切り替え時のpage_view発火設計 | 「2ページ以上」の判定が変わる |
しきい値についてはGoogleタグ設定ヘルプに「The default threshold for engagement time is 10 seconds but can be adjusted(既定値は10秒だが調整できる)」と記載されています。なお変更できる範囲についてはGoogle公式に明記がありません。第三者の解説記事には具体的な範囲が書かれていることがありますが、公式の裏付けは確認できませんでした。
もうひとつ押さえておきたいのが、エンゲージメント時間がフォアグラウンドでの滞在時間である点です。タブを開いたまま放置された時間は加算されません。「直帰率は高いのにセッション時間は長い」という状態が見えている場合、それは平均エンゲージメント時間ではなく平均セッション継続時間を見ている可能性があります。
結論として、A社の80%とB社の80%は同じものを測っていません。他社平均と比べるという行為が、原理的に成立していないことになります。冒頭で触れた「80〜85%は通常」という説明も、これと同じ理由で自社の数字には当てはめられません。
「平均直帰率56.5%」の出所を原典まで辿った
日本語で「ディスプレイ広告 直帰率」と検索すると、チャネル別の平均値を並べた表が複数の記事で見つかります。ディスプレイ広告56.50%、SNS 54%、直接流入49.90%、リスティング広告44.10%、オーガニック検索43.60%、リファラル37.50%、Eメール35.20%という7項目のセットです。複数のサイトが同じ数字を載せているため、独立した複数のソースが裏付けているように見えます。実際にはすべて同一の米国データを引いたものでした。
原典は2017年に公開されたページだった
原典は、米国のマーケティング企業CXLが公開しているベンチマークのガイドページです。ここまで辿ると、次のことがわかります。
| 項目 | 確認できた内容 |
|---|---|
| 公開日 | 2017年8月7日(掲載画像のアップロードパスも2017年7月) |
| 計測基準 | UA。記事中で読者に「Audience > Benchmarking を開け」と案内している |
| サンプル数・母集団 | 記載なし |
| さらに元のデータ | 存在しない(CXLが終端) |
決定的なのは計測基準です。CXLが読者に案内している「Audience > Benchmarking」は、Googleが現在「[UA] About Benchmarking [Legacy]」とラベルしているUA専用の機能で、GA4には存在しません。加えてGA4の提供開始は2020年10月であり、2017年公開のデータがGA4であることは時系列としてあり得ません。GA4で見ている自社の直帰率と、この56.50%を並べることはできません。
引用元の表記がずれている記事もある
さらに、日本語記事の一部では引用元の表記自体がずれていました。出典としてある海外サイトを挙げている記事がありますが、その原典ページに当該の7項目は存在しません。別の記事はContentsquareの調査を出典としていますが、Contentsquareのベンチマークにチャネル別直帰率の内訳はなく、しかも同社は直帰を「1ページのみ閲覧した訪問の割合」と定義しています。これはUA式であって、GA4のエンゲージメント基準ではありません。
AI検索も同じ数字を、但し書きなしで返す
2026年8月時点で、Google検索のAIモードに「ディスプレイ広告の平均直帰率は?」と尋ねると、「56.50%です」という断定形の回答が返ってきました。根拠として「米国のマーケティング機関CXLなどの調査によるベンチマークデータ」と説明され、上で挙げた7項目の表もそのまま提示されます。回答としては、引用元の記事群の内容を忠実に要約しています。問題は、判断に必要な但し書きが3つとも落ちることです。
- 公開が2017年であること
- 計測がUAであり、GA4の数字と並べられないこと
- サンプル数が公開されていないこと
引用元の日本語記事に但し書きが書かれていない以上、要約にも現れません。検証されていない数字が、断定形で配布される構造になっています。AIの回答が誤っているというより、参照されている記事群の側に情報が欠けていると言う方が正確です。なおAI検索の回答は、時期や検索の表記によって変わります。ここでの記述は2026年8月時点で確認した内容です。
GA4基準のチャネル別ベンチマークは存在しない
では、UA時代の数字ではなくGA4基準の平均値を探せばよいのではないか、という発想になります。実際に探すと、ほとんど見つかりません。GA4にもベンチマーク機能はありますが、Googleアナリティクスヘルプによればこれは「同じ業界の他のビジネスと自社の実績を比較する」ための機能で、比較の単位は業種ピアグループです。提供される統計値は中央値と25・75パーセンタイルで、チャネル別の内訳は提供されていません。
出典:Googleアナリティクス ヘルプ「[GA4] Benchmarking」
つまりディスプレイ広告の直帰率について、Google自身が業界標準値を提供していないということです。
GA4のエンゲージメント率をチャネル別に公開している調査としては、米国のSiege Mediaによるものが見つかります。同社のクライアント304プロパティを対象に2023年7月から2025年7月のデータを集計したもので、ディスプレイ経由のエンゲージメント率は43.76%(直帰率に換算すると56.24%相当)と報告されています。ただしこの数字をディスプレイ広告の相場として使うことはできません。Siege Mediaはオーガニック施策を専門とする会社で、ディスプレイ広告の運用サービスを提供していません。同社サイトのサービス一覧にpaid mediaやPPCの項目はなく、第三者の代理店レビューでも運用型広告を扱わない旨が記載されています。
したがってこの43.76%は「広告主が意図して出稿・運用したディスプレイ広告」の数値ではなく、オーガニック施策を依頼している企業に流入したディスプレイ経由トラフィックの数値です。さらにチャネルごとのプロパティ数・セッション数は公開されておらず、ディスプレイの数字が何社分から算出されたのかもわかりません。皮肉なことに、この数値の弱点はCXLの56.50%とほぼ同じです。片方を否定してもう片方を新しい基準に据えるなら、参照先を入れ替えただけになります。
まず確認すべきこと
レポートの直帰率が80%と出ている状態から、実際に手を動かす順序です。
- 見ている指標が直帰率(エンゲージメント率の裏返し)か、平均セッション継続時間ではないかを確認する
- リターゲティングと新規配信が別キャンペーンに分かれているか、新規側で既存訪問者を除外しているかを確認する
- リターゲティングの直帰率を測り、基準線として控える
- 全体平均を捨て、配信面・オーディエンス別に直帰率を割る
- クリック率が高いのに直帰率も極端に高い面を抽出し、誤クリックを疑って除外する
- LPの表示速度を測る。3秒かかっているなら、10秒のしきい値のうち7秒しか残っていない
- 切って空いた予算を、残った良質な面に似たカテゴリへ再投資する
- 数週間後、リターゲティング経由のコンバージョン数が増えたかを確認する
この手順には、外部の平均値が一度も登場しません。比較対象がすべて自社データの中で完結しています。それが、業界標準値が存在しない指標を扱う唯一の方法になります。
数字を扱う姿勢そのものについては、WEBマーケティングの本質は三方良しでも、計測値を評価の根拠として扱う際の注意点に触れています。
よくある質問
Q. ディスプレイ広告の直帰率80%は高すぎますか?
外部のデータでは判定できません。GA4の直帰率は自社の計測設定によって変動するため、他社の平均値と比較しても意味を持たないからです。判定できるのは、その80%の中身が誤クリックによるものか、興味を持ったが10秒に届かなかった層によるものか、という内訳です。配信面ごとに割って、自社のリターゲティングの直帰率を基準線に比較してください。
Q. よく見かける「平均直帰率56.5%」は使えないのですか?
GA4の数字と比較する用途では使えません。この数値は米国のCXLが2017年に公開したもので、計測はユニバーサルアナリティクスのベンチマーク機能によるものです。GA4の提供開始は2020年10月なので、定義が異なります。またサンプル数や母集団は公開されていません。日本語の複数サイトが同じ数値を掲載していますが、いずれも同一の米国データを引いたものであり、独立した複数のソースではありません。
Q. GA4に移行したら直帰率は必ず下がりますか?
下がることが多いものの、必ずではありません。UAの直帰はサーバーへのリクエストが1件だけのセッションを指すため、イベント計測を入れていた環境では、単一ページのセッションでも直帰に計上されない場合がありました。この条件に当てはまるページでは、GA4の方が直帰率が高く出ることがあります。実測でも差の幅は事例によって大きく異なるため、一般化はできません。
Q. 直帰率が高くてもセッション時間が長ければ問題ないのでは?
GA4では、その2つは定義上ほとんど両立しません。10秒を超えて滞在した時点でエンゲージ扱いとなり、直帰から外れるためです。両立して見えている場合は、平均エンゲージメント時間ではなく平均セッション継続時間を見ている可能性があります。後者はタブが裏で開いたままの時間も含むため、実際に読まれた時間を示していません。
Q. 目標値として直帰率60%を設定するのは有効ですか?
外部から持ち込んだ数値を目標に据えるのは避けた方が安全です。達成可能かどうかが事前に判断できないうえ、直帰率は10秒のしきい値を超えれば下がる指標のため、コンバージョンに関係のない方法で数字だけを動かせてしまいます。目標を置くなら、自社のリターゲティングの直帰率を上限性能として基準にしてください。同じLP・同じ計測設定なので、比較が成立します。
Q. リターゲティングとディスプレイ広告は別のものですか?
別ではありません。リターゲティングはディスプレイ広告の一種で、配信される面は同じです。違うのはオーディエンスの指定だけで、過去の訪問者に絞ればリターゲティング、興味関心やトピックで広げれば新規向けの配信になります。ただし評価を分けるため、実務では別キャンペーンに分割し、新規側から既存訪問者を除外して運用します。混ざっていると、どちらの成果か分離できなくなります。
