見出しタグ(h1〜h6)は、文書の階層構造をブラウザや支援技術に伝えるためのHTML要素であり、検索順位を上げるためのタグではありません。Googleは公式ドキュメントの中で「見出しの数や順序」を、重視しなくてよいこととして名指しで挙げています。
それでも、見出しを適当に組んでよいわけではありません。理由が「SEO」ではないだけで、正しく組むべき根拠は別に3本あります。HTML仕様として適合するかどうか、スクリーンリーダー利用者がページを移動する手段そのものであること、そしてGoogleがタイトルリンクの生成に見出しを使うことの3つです。この3つは、いずれも一次ソースで確認できます。
この記事では、見出しタグの使い方を「順位に効くかどうか」ではなく「仕様として妥当か・読める構造になっているか」という軸で組み直します。記事の後半には、自分のページの見出し構造が妥当かどうかをブラウザだけで確かめる手順と合否ラインを用意しました。
なお本記事は、以前「見出しの階層やh1の数はSEOのために守るもの」と書いていた内容を、Google公式ドキュメントの記述と突き合わせて全面的に書き直したものです。撤回した記述と、その理由も本文中に明記しています。引用したGoogle公式の文言は、すべて2026年8月1日に公式ページを直接開いて原文を確認しました。
結論|見出しタグは検索順位のためのタグではない
「h1は1ページに1つ」「階層を飛ばしてはいけない」「見出しにキーワードを入れる」——このあたりは、SEOの入門記事でほぼ必ず見かけるルールです。結論から言うと、この3つはやったほうがよい実務ルールですが、その理由をSEOに求めると根拠が見つかりません。
Googleは「見出しの数や順序」を重視しなくてよいことに分類している
Google検索セントラルの「SEOスターターガイド」には、Things we believe you shouldn’t focus on(重視しなくてよいと考えていること)という節があります。ここに並んでいるのは、メタキーワード、キーワードの乱用、ドメイン名の中のキーワード、コンテンツの最小・最大文字数、サブドメインかサブディレクトリか、PageRank、重複コンテンツの「ペナルティ」——そして「見出しの数や順序(Number and order of headings)」です。
つまりGoogleは、見出しの数と順序を「よくある誤解」の側に置いています。同じ節の末尾には「E-E-A-Tをランキング要因と考える」という項目もあり、そこには「いいえ、そのようなことはありません」とだけ書かれています。
出典:Google 検索セントラル|SEO Starter Guide(英語版・Things we believe you shouldn’t focus on)(2026年8月1日確認)
それでも見出しを正しく組む理由は3本ある
順位に効かないなら守らなくてよい、とはなりません。理由を差し替えると、同じルールがすべて一次ソースつきで正当化できます。
| 実務ルール | よく語られる理由(根拠なし) | 実際の根拠 |
|---|---|---|
| 階層を飛ばさない | Googleがクロールしやすくなる | HTML仕様が「2段以上の飛び降り」を非適合と定めている/W3C WAIが「混乱を招くので避けるべき」としている |
| h1は原則1つ | h1が複数だと評価が分散する | Googleはタイトルリンクの生成に見出しを使うため、主見出しが1つに定まっている方が意図どおりに出やすい/MDNもベストプラクティスとして推奨 |
| 見出しに内容を表す語を入れる | 検索キーワードとマッチして順位が上がる | WCAG 2.4.6が「見出しとラベルはトピックまたは目的を表す」ことを求めている(レベルAA) |
| 装飾目的で見出しタグを使わない | SEOに悪影響がある | WCAG 1.3.1「見た目で伝えている構造をプログラムで判別可能にする」に反する(レベルA) |
ルールの中身はほとんど変わりません。変わるのは「なぜやるのか」と「どこまでやれば十分か」の判断基準です。SEOを根拠にしていると「もっと最適化できるのでは」という終わりのない調整に入りますが、仕様適合とアクセシビリティを根拠にすると合否が判定できるようになります。
この記事が撤回した記述について
本記事の旧版には、「Googleのジョン・ミューラー氏も『1つのh1が理想的』と発言しています」という一文がありました。この発言の一次ソースを確認できなかったため、記述を撤回します。Google公式ドキュメントに書かれているのは前述のとおり「魔法の見出し数や理想的な見出し数といったものは存在しない」であり、旧版の記述は公式の説明と逆の方向を向いていました。
あわせて、旧版で「SEOのため」と説明していた階層ルール・キーワード挿入の根拠も、本記事ではすべて仕様とアクセシビリティ基準に置き換えています。
Google公式ドキュメントが実際に書いていること
ここは伝聞ではなく原文で確認したほうが早い部分です。該当箇所は短いので、全文を引用します。
「見出しの数や順序」の原文
Having your headings in semantic order is fantastic for screen readers, but from Google Search perspective, it doesn’t matter if you’re using them out of order. The web in general is not valid HTML, so Google Search can rarely depend on semantic meanings hidden in the HTML specification.
There’s also no magical, ideal amount of headings a given page should have. However, if you think it’s too much, then it probably is.
Google 検索セントラル「SEO Starter Guide」Number and order of headings(英語版)
要点は2つです。「見出しを意味的な順序にすることはスクリーンリーダーにとって素晴らしいが、Google検索の観点では順序どおりでなくても問題ない」。そして「ページごとの魔法の見出し数・理想的な見出し数は存在しない。ただし多すぎると感じるなら、おそらく多すぎる」。
注目すべきは1文目です。Google自身が「意味的な順序はスクリーンリーダーにとって素晴らしい」と認めたうえで、「ただし検索の観点では関係ない」と切り分けています。階層を守る理由はアクセシビリティ側にある、という整理はGoogle公式の記述と一致します。
日本語版ガイドの訳がずれている箇所に注意
同じ節の日本語版を読むと、2文目がこうなっています。
また、ページごとに魔法の見出し数や理想的な見出し数といったものが存在することもありません。ただ、リンクの数が多すぎると感じる場合、実際にそうである可能性が高いと言えます。
Google 検索セントラル「SEO スターター ガイド」見出しの数や順序(日本語版)
英語版の該当文は However, if you think it's too much, then it probably is. で、主語は前文から続く見出しの数です。日本語版はここを「リンクの数」と訳しています。見出しについての節なので、日本語版だけを読むと「なぜ急にリンクの話が出てくるのか」と混乱します。
2026年8月1日時点で両言語版を並べて確認した結果です。Google公式ドキュメントを引用するときは、日本語版で意味を取ったあと英語版で裏を取る——この一手間は、ほかの節でも効きます。日本語版のURLは英語版の末尾に ?hl=ja を付けるだけなので、行き来のコストはほとんどありません。
出典:Google 検索セントラル|SEO スターター ガイド(日本語版・見出しの数や順序)(2026年8月1日確認)
見出しへのキーワード詰め込みはスパムポリシー違反
「見出しにキーワードを入れると順位が上がる」という説明も、公式には裏付けがありません。むしろ同じ「重視しなくてよいこと」の節にはキーワードの乱用が並んでおり、「同じ言葉を何度も繰り返すことは(多少変化を持たせても)ユーザーをうんざりさせてしまうほか、キーワードの乱用はGoogleのスパムに関するポリシーに違反することにもなります」と書かれています。
見出しは本文より目立つ位置にあるぶん、詰め込みが露骨に見えます。「順位のために入れる」という発想でいる限り、この線を踏み越えるリスクは消えません。入れる理由を「読者がその見出しだけを読んでセクションの中身を判断できるようにするため」に置き換えれば、詰め込みは自動的に起きなくなります。
出典:引用文は SEO スターター ガイド(日本語版・キーワードの乱用)、ポリシー本体は Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー(いずれも2026年8月1日確認)
Googleが見出しを実際に使う場面|タイトルリンクの生成
見出しがまったく無関係かというと、そうではありません。検索結果に表示されるタイトルリンクの生成元として、Googleは見出し要素を明示的に挙げています。公式ドキュメントが列挙しているソースは次のとおりです。
<title>要素内のテキスト- ページに表示されるメインの視覚的タイトル(大見出し)
<h1>要素などの見出し要素og:titleメタタグ内のテキスト- スタイル処理によって大きく目立つように作られたその他のテキスト
同じページには、明確なメインタイトルが無い場合に何が起きるかも書かれています。「Google 検索では、大きくて目立つ見出しが複数あることを検出すると、最初の見出しをタイトルリンクのテキストとして使用することがあります」。おすすめの方法の節にも「複数の見出しのフォントサイズや目立ち具合が同じだと、Google のシステムに混乱が生じる可能性があります」とあり、対策として「タイトルのテキストをページで最初に目立つ <h1> 要素に配置する」ことが例示されています。
これは順位の話ではなく表示の話です。h1を1つに絞る実務的な利点は「評価が集中するから」ではなく、「意図しない文字列がタイトルリンクに採用される事故を減らせるから」だと理解するのが正確です。タイトルリンクの表示制御は、meta descriptionの書き方ガイドで扱っているスニペット側の話とセットで考えると整理しやすくなります。
出典:Google 検索セントラル|タイトルリンクに影響を与える(2026年8月1日確認)
理由①|HTML仕様として妥当かどうか
階層を飛ばしてはいけない最大の理由は、シンプルにHTML仕様が禁じているからです。ここは「推奨」ではなく、仕様書の適合要件(must)として書かれています。
h1〜h6は「見出しレベル」であって文字サイズの指定ではない
HTML Standard(WHATWG)は、h1〜h6について「これらの要素は、名前に含まれる数値で与えられる見出しレベルを持つ。見出しレベルは入れ子になったセクションのレベルに対応する。h1はトップレベルのセクション用、h2はサブセクション用、h3はサブサブセクション用、というように続く」と定義しています。
つまりh1〜h6が表しているのは「入れ子の深さ」であって、文字の大きさでも太さでもありません。ブラウザの既定スタイルでたまたま数字が大きいほど小さく表示されるだけです。この前提を外すと、以降のルールはすべて意味が通らなくなります。
仕様が非適合とするのは「2段以上の飛び降り」
HTML Standardの「Headings and outlines」には、次の適合要件があります。
Each heading following another heading lead in the outline must have a heading level that is less than, equal to, or 1 greater than lead’s heading level.
HTML Standard(WHATWG)4.3.11 Headings and outlines
ある見出しの次に来る見出しのレベルは、「前の見出しより小さい」「等しい」「ちょうど1つ大きい」のいずれかでなければならない——という要件です。h2の次にh4を置くと「2つ大きい」になるため、この要件に反します。
仕様書自身が、非適合の例として次のコードを挙げています。
<!-- HTML Standard が非適合(non-conforming)として挙げている例 -->
<body>
<h1>Apples</h1>
<p>Apples are fruit.</p>
<section>
<h3>Taste</h3>
<p>They taste lovely.</p>
</section>
</body>仕様書は続けて、これを適合させる書き方も示しています。直すのはタグ1文字です。
<!-- 適合(conforming)する書き方 -->
<body>
<h1>Apples</h1>
<p>Apples are fruit.</p>
<section>
<h2>Taste</h2>
<p>They taste lovely.</p>
</section>
</body>出典:HTML Standard(WHATWG)|4.3.11 Headings and outlines(2026年8月1日確認)
上に戻るのは適合|セクションを閉じる動き
ここは誤解されやすいところです。禁じられているのは「深くなる方向の飛び越え」だけで、浅くなる方向はいくつ戻っても構いません。h4の次にh2が来るのは、単に「サブセクションを閉じて新しい章に入った」という意味なので適合します。
W3C WAIのチュートリアルも同じ整理をしています。「見出しランクを飛ばすことは混乱を招く可能性があるため、可能な限り避けるべきです。たとえば <h2> の直後に <h4> が続かないようにしてください。サブセクションを閉じるときにランクを飛ばすのは問題ありません。たとえば <h4> の後に、新しいセクションを始める <h2> が続くのは構いません」。
| 並び | 判定 | 意味 |
|---|---|---|
| h2 → h3 | 適合 | 1段深いサブセクションを開いた |
| h2 → h2 | 適合 | 同じ階層で次のセクションへ移った |
| h4 → h2 | 適合 | サブセクションを閉じて上の階層へ戻った |
| h2 → h4 | 非適合 | h3が存在しないのにh3の下の階層を開こうとしている |
| h1 → h3 | 非適合 | 同上(仕様書が挙げている非適合例) |
出典:W3C Web Accessibility Initiative|Page Structure Tutorial: Headings(2026年8月1日確認)
「h1が1つもないページ」は仕様上どうなるのか
HTML Standardには、もう1つ関連する記述があります。「文書に1つ以上の見出しがある場合、アウトラインの中の少なくとも1つの見出しは、見出しレベルが1であるべきである(should)」。
ここで重要なのは、仕様が求めているのは「少なくとも1つのh1」であって「ちょうど1つのh1」ではないという点です。見出しがあるのにh1が1つもないページは仕様の推奨から外れますが、h1が2つあることを仕様が禁止しているわけではありません。「h1は1つだけ」という広く語られるルールの根拠は、HTML仕様ではなく別のところにあります(後述します)。
HTMLの各要素がどういう役割で定義されているかを一度まとめて見ておきたい場合は、HTMLタグ一覧(カテゴリ別・使用例付き)が索引として使えます。
理由②|見出しはスクリーンリーダー利用者の移動手段そのもの
「アクセシビリティのために」という言い方は抽象的に響きますが、この論点には実測データがあります。見出しは、スクリーンリーダー利用者にとってページ内を移動する第一の手段です。
実測|長いページで最初にすることは「見出しをたどる」
WebAIMが2023年12月〜2024年1月に実施したスクリーンリーダー利用者調査(有効回答1,539件)では、「長いWebページで情報を探すとき、最初にすることは何か」という問いに対して次の結果が出ています。
| 最初にすること | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
| ページ内の見出しをたどる | 1,082 | 71.6% |
| 検索(Find)機能を使う | 205 | 13.6% |
| ページを通して読む | 96 | 6.4% |
| ページ内のリンクをたどる | 72 | 4.8% |
| ランドマーク/領域をたどる | 56 | 3.7% |
調査は、スクリーンリーダーの習熟度が高い層ほど見出しを使う傾向が強く(上級者78%、初級者47%)、初級者は上級者の2.5倍「検索機能」に頼ると報告しています。見出し構造が壊れているページは、熟練したユーザーほど強く不便を被るという関係になります。
見出しレベルは「役に立つ」が88.8%
同じ調査には「見出しでページを移動するとき、見出しレベル(Heading 1、Heading 2など)はどの程度役に立つか」という設問もあります。「とても役に立つ」57.0%、「ある程度役に立つ」31.8%で、合計88.8%が役に立つと回答しています。
この数字が意味するのは、見出しレベルは読み飛ばされる情報ではなく、実際に聞かれている情報だということです。h2の次にh4があると、支援技術の利用者には「Heading 2」「Heading 4」と読み上げられます。間のHeading 3がどこかにあるはずだと探させてしまうのが、レベル飛ばしの実害です。
出典:WebAIM|Screen Reader User Survey #10 Results(調査期間2023年12月〜2024年1月・有効回答1,539件/2026年8月1日確認)
WCAGでの位置づけ|1.3.1と2.4.6
見出しに関係する達成基準は主に2つです。どちらも「順位」ではなく「情報が届くか」を問うものです。
| 達成基準 | レベル | 要求内容 | 見出しでの意味 |
|---|---|---|---|
| 1.3.1 Info and Relationships | A | 見た目で伝えている情報・構造・関係が、プログラムで判別可能である(またはテキストで提供される) | 「大きい文字だから見出し」ではなく、h要素でマークアップする |
| 2.4.6 Headings and Labels | AA | 見出しおよびラベルは、トピックまたは目的を表す | 「ポイント」「その他」のような、単独で内容が分からない見出しを避ける |
WCAG 1.3.1の解説には「晴眼のユーザーは、さまざまな視覚的手がかりによって構造と関係を認識する。見出しはしばしば大きく太いフォントで、段落から空行で区切られている」とあります。この視覚的手がかりをコードにも書いておくことが要求内容です。国内の法制度を含めたアクセシビリティ全体の話は Webアクセシビリティの基本|WCAG 2.2と法改正への対応にまとめています。
出典:W3C|Understanding SC 1.3.1 Info and Relationships / Understanding SC 2.4.6 Headings and Labels(2026年8月1日確認)
装飾目的で見出しタグを使うと何が壊れるか
「大きく目立たせたいからh4を使う」という書き方は、SEOに悪いから避けるのではありません。見出しでない文字列が見出し一覧に混入し、移動手段としての見出しが使い物にならなくなるから避けます。
<!-- 目立たせたいだけで見出し要素を使っている(避ける) -->
<h4 style="font-size: 28px;">今月末までキャンペーン実施中</h4>
<!-- 見出しではないので段落のまま、装飾はクラスで行う -->
<p class="lead-text">今月末までキャンペーン実施中</p>.lead-text {
font-size: clamp(1.25rem, 1rem + 1.2vw, 1.75rem);
font-weight: 700;
line-height: 1.5;
}逆のパターンもあります。見出しとして機能しているのに、divやspanで組まれていて見出し一覧に出てこないケースです。こちらは見た目では気づけないので、後述の検証手順で洗い出します。
理由③|h1を1つに絞る根拠はどこにあるのか
3つのルールの中で、いちばん根拠が曖昧なまま流通しているのが「h1は1ページに1つ」です。結論を先に書くと、これは仕様の要件でもランキング要因でもなく、実務上のベストプラクティスです。それでも従う価値はあります。
仕様もGoogleも「1つだけ」とは言っていない
前述のとおり、HTML Standardが求めているのは「少なくとも1つの見出しレベル1」です。Googleは「魔法の見出し数は存在しない」と書いています。MDNも「1つのページで複数の <h1> 要素を使うことはHTML標準で許容されている(入れ子になっていない限り)」と明記しています。
したがって、h1が2つあるページを見つけても「仕様違反だ」「ペナルティを受ける」と言うことはできません。ここを断定してしまうと、記事全体の信頼が落ちます。
それでも1つに絞る2つの理由
1つ目は表示の予測可能性です。Googleはタイトルリンクの生成に見出し要素と「大きく目立つテキスト」を使い、大きくて目立つ見出しが複数あることを検出すると最初の見出しをタイトルリンクに使うことがあると公式ドキュメントに書いています。主見出しが1つに定まっていれば、検索結果に出る文字列が意図から外れる確率は下がります。
2つ目はページの主題が1つに定まることです。MDNは「ページには一般に、そのページの内容を説明する単一の <h1> 要素があるべきです(文書の <title> 要素と同様に)」とし、複数h1は「ベストプラクティスとは見なされない」と書いています。h1が2つ必要になった時点で、多くの場合は1ページに2つのテーマが同居しているという構成側の問題が出ています。
ページの主題が分かれているかどうかは、サイト全体の設計を見ないと判断できません。ページの切り分け方そのものに迷ったら、サイト構造の設計手順(ページ洗い出しから階層を組み立てる情報設計)のほうが先に効きます。
出典:MDN Web Docs|<h1>–<h6>: The HTML Section Heading elements(2026年8月1日確認)
WordPressでh1が増える典型的な3か所
本文をどれだけ丁寧に書いても、テーマやプラグインが勝手に見出しを出力していると構造は崩れます。実務で見つかる原因はだいたいこの3か所です。
| 出力元 | 起きること | 取るべき形 |
|---|---|---|
| ヘッダーのサイトロゴ/サイト名 | 記事ページでもサイト名がh1になり、記事タイトルのh1と二重になる | トップページのみサイト名をh1にし、下層ページではpやdivに切り替える |
| サイドバーのウィジェットタイトル | 「最近の投稿」などがh2以上で出力され、本文の章と同じ階層に並ぶ | ウィジェットの見出しタグ設定を本文より下の階層にそろえる |
| パンくずリスト | パンくずが見出し要素で囲まれ、見出し一覧の先頭に無関係な項目が入る | パンくずはnav要素で組み、見出し要素を使わない |
いずれも「本文だけを見ていても発見できない」タイプの崩れです。次章の検証手順は、まさにここを拾うために書いています。
見出しに何を書くか|「キーワードを入れる」の言い換え
「見出しにキーワードを入れる」を目的にすると、詰め込みに向かいます。基準をWCAG 2.4.6「見出しおよびラベルは、トピックまたは目的を表す」に置き換えると、書くべき内容が具体的に決まります。
判定基準は「見出しだけを読んで中身が分かるか」
スクリーンリーダーで見出しをたどっているとき、聞こえるのは見出しのテキストだけです。前後の本文は読まれません。したがって「その見出しだけを単独で聞いて、続きを読むかどうか判断できるか」が実用的な合否基準になります。
W3Cの解説は「ラベルや見出しは長くある必要はない。1単語、あるいは1文字であっても、コンテンツを見つけて移動するための適切な手がかりになるなら十分である」とも書いています。長さの問題ではなく、手がかりとして機能するかが論点です。
書き換え例
| 避けたい見出し | 問題 | 書き換え例 |
|---|---|---|
| ポイント | 単独では何のポイントか分からない | 階層を飛ばさないときのポイント |
| その他 | 中身が推測できない | h4以下を使う場面と使わない場面 |
| 見出しタグ SEO 対策 h1 h2 使い方 | キーワードの列挙で文になっていない | h1とh2の役割はどう違うのか |
| まとめ | 記事末尾なら許容されるが、章の途中では手がかりにならない | この章で確認したこと(3点) |
| はじめに | 導入文に見出しを付けている状態 | 見出しを付けずリード文として本文に置く |
結果として、検索クエリに使われる語は自然に混ざります。それは狙って入れた結果ではなく、内容を正確に書いた副産物です。順序が逆になると詰め込みになります。
検証|自分のページの見出し構造が妥当かをブラウザだけで確かめる
ここまでの基準は、すべて機械的に判定できます。拡張機能もツールも入れずに、ブラウザの開発者ツールだけで3分あれば終わります。
手順1|コンソールで見出しを一覧化する
対象のページを開き、F12(macOSは Command + Option + I)で開発者ツールを開いて「Console」タブを選び、次のコードを貼り付けて実行します。
// ページ内の見出しを階層つきで一覧表示し、レベル飛ばしを検出する
const headings = document.querySelectorAll('h1, h2, h3, h4, h5, h6');
let prev = 0;
headings.forEach((el) => {
const level = Number(el.tagName.slice(1));
const skipped = prev !== 0 && level > prev + 1;
const text = el.textContent.trim().slice(0, 40);
console.log(
' '.repeat(level - 1) + el.tagName + ' ' + text + (skipped ? ' ←レベル飛ばし' : '')
);
prev = level;
});
console.log('h1の数: ' + document.querySelectorAll('h1').length);
console.log('見出しの総数: ' + headings.length);インデントの深さがそのまま見出しレベルです。ヘッダー・サイドバー・フッターの見出しも含めてページ全体の見出しが出るので、テーマが勝手に出力している分もここで見えます。開発者ツールそのものの使い方は Chrome DevToolsで仮説と検証を回す手順にまとめています。
手順2|合否ラインで判定する
出力を次の5項目で判定します。5項目すべてが「合格」なら、見出し構造としてはそれ以上いじる必要はありません。
| 確認項目 | 合格ライン | 不合格の見え方 |
|---|---|---|
| h1の数 | ちょうど1つ | 「h1の数: 0」または「h1の数: 2」以上 |
| レベル飛ばし | 「←レベル飛ばし」が0件 | 1件でも表示される |
| 最初の見出し | 先頭行がH1 | 先頭行がH2やH3になっている |
| 見出しだけの通読 | 出力を上から読むと目次として意味が通る | 本文と無関係な項目(サイト名・ウィジェット名・パンくず)が割り込む |
| 個々の見出し文言 | 単独で内容が分かる | 「ポイント」「その他」など手がかりにならない文字列がある |
この5項目は、順位が上がることを保証するものではありません。保証するのは「HTML仕様に適合していること」と「見出しで移動できること」の2つです。冒頭で確認したとおり、Googleはこの領域を「重視しなくてよいこと」に分類しているので、ここを通したあとに見出しをさらに調整しても得るものはありません。合格したら手を止めるのが正しい終わり方です。
手順3|外れたときに最初に見る場所
不合格が出たら、原因を1段だけ掘ります。掘る先は次の表のとおりで、ここから先へは進みません。該当の見出しを右クリックして「検証」を選べば、その見出しがどのブロック・どのテンプレート由来かが分かります。原因箇所さえ特定できれば、修正自体は数行です。
| 外れた項目 | 典型的な原因 | 最初に見る場所 |
|---|---|---|
| h1が2つ以上 | サイトロゴ/サイト名と記事タイトルの両方がh1 | ヘッダーのロゴ部分。下層ページではpやdivに切り替える |
| h1が0個 | タイトルがdivやspanで出力されている | 記事タイトルを出しているテンプレート(WordPressなら単一投稿用のテンプレート) |
| レベル飛ばしが出る | 見た目のサイズでタグを選んでいる | 飛んだ側の見出しを1段上げる。間に親見出しが必要なら足す |
| 無関係な見出しが割り込む | ウィジェットタイトル・パンくずが見出し要素で出力されている | ウィジェットの見出しタグ設定、パンくずの出力設定 |
| 文言が手がかりにならない | 本文の書き方の問題 | 本文側。該当セクションを一文で要約して見出しに戻す |
公開前にまとめて確認したい項目が見出し以外にもある場合は、納品前にSEO設定を自分で検証する手順(5項目の確認方法と合否ライン)に同じ形式のチェックをまとめています。
コンソールを開かずに確認したいとき
HTMLを貼り付けて同じ判定をしたい場合や、公開前のマークアップを手元で確かめたい場合は、ブラウザ内で完結する検証ツールを用意しています。見出し階層の乱れに加えて、タグの入れ子の誤り・alt欠落・charset や title の欠落も同時に検出します。入力したHTMLは外部に送信されません。
見出し構造だけでなく、タイトル・メタタグ・canonical・構造化データまで含めてURL単位で診断したい場合は Direbase(ディレベース) が使えます。基本SEOのカテゴリに見出し構造の項目が含まれており、登録不要で3回まで診断できます。
まとめ|順位のためではなく、読める構造のために組む
見出しタグについて確認できたことを整理します。
- Googleは「見出しの数や順序」を、重視しなくてよいこととして公式ドキュメントに明記している
- 階層を飛ばさない根拠はHTML仕様の適合要件。h2→h4のような「2段以上の飛び降り」は非適合になる
- 逆に、サブセクションを閉じて上の階層に戻るのは適合する(h4→h2は問題ない)
- スクリーンリーダー利用者の71.6%が、長いページで最初に見出しをたどる(WebAIM調査・2024年)
- h1を1つに絞る根拠は仕様でもランキングでもなく、タイトルリンクの予測可能性とページ主題の単一性
- 見出しの文言は「キーワードを入れる」ではなく「トピックまたは目的を表す」(WCAG 2.4.6)で判断する
理由をSEOから仕様とアクセシビリティへ移すと、「どこまでやれば終わりか」が決まるのが最大の変化です。手順2の5項目を通したら、見出しについての作業はそこで完了します。空いた時間は、内容そのものや内部リンク設計に回したほうが確実に効きます。
▶ SEO対策ガイド(基礎からAI検索時代の手法まで)を読む
よくある質問
Q. h1タグはページに1つだけにすべきですか?
仕様上は複数のh1が許容されており、Googleも「魔法の見出し数や理想的な見出し数は存在しない」と明記しています。それでも1つに絞ることを推奨するのは、Googleがタイトルリンクの生成に見出し要素を使い「大きくて目立つ見出しが複数あることを検出すると、最初の見出しをタイトルリンクのテキストとして使用することがあります」と説明しているため、そしてh1が2つ必要になる時点でページの主題が分かれている可能性が高いためです。ランキングのためではありません。
Q. 見出しのレベルを飛ばすと検索順位は下がりますか?
下がるという根拠はありません。Google検索セントラルのSEOスターターガイドは「見出しを意味的な順序にすることはスクリーンリーダーにとって素晴らしいが、Google検索の観点では順序どおりに使われていなくても問題ない」と書いています。ただしHTML Standardは「2段以上深いレベルへの飛び降り」を非適合と定めており、W3C WAIも避けるべきとしています。順位ではなく、仕様適合とアクセシビリティの問題として直してください。
Q. 見出しにキーワードを入れるとSEOに有利になりますか?
「入れれば順位が上がる」というGoogleの公式説明はありません。むしろ同じドキュメントの「重視しなくてよいこと」の節にはキーワードの乱用が挙げられ、乱用はスパムポリシー違反にあたると書かれています。基準はWCAG 2.4.6の「見出しおよびラベルは、トピックまたは目的を表す」に置き換えてください。内容を正確に書けば、検索で使われる語は自然に含まれます。
Q. 装飾目的で見出しタグを使ってはいけないのはなぜですか?
見出しではない文字列が見出し一覧に混入し、見出しによるページ内移動が機能しなくなるためです。WebAIMの調査では、スクリーンリーダー利用者の71.6%が長いページでまず見出しをたどると回答しています。目立たせたいだけであれば段落のままにして、CSSのクラスで文字サイズや太さを指定してください。逆に、見出しとして機能しているのにdivやspanで組まれている箇所も同じ理由で問題になります。
Q. サブセクションを閉じるときにレベルを戻すのは問題ありませんか?
問題ありません。HTML Standardの要件は「次の見出しのレベルは、前の見出しより小さいか、等しいか、ちょうど1つ大きいこと」なので、h4の次にh2が来る並びは適合します。W3C WAIも「サブセクションを閉じるときにランクを飛ばすのは問題ない」と明記しています。禁じられているのは深くなる方向の飛び越し(h2の直後にh4など)だけです。
Q. WordPressでh1が複数出てしまう場合はどこを直せばよいですか?
まずヘッダーのサイトロゴ/サイト名を確認してください。トップページでサイト名をh1にしたまま下層ページにも同じ出力が残っていると、記事タイトルのh1と二重になります。次にサイドバーのウィジェットタイトルとパンくずリストの出力タグを確認します。該当の見出しを右クリックして「検証」を選べば、どのブロックから出力されているかを特定できます。本文だけを見ていても見つからないタイプの崩れなので、必ず公開ページ側で確認してください。
Q. 見出し構造をまとめて確認できる方法はありますか?
本記事の手順1に載せたJavaScriptを開発者ツールのコンソールで実行すれば、追加のインストールなしにページ全体の見出しとレベル飛ばしを一覧できます。HTMLを貼り付けて確認したい場合はHTMLアウトラインチェッカーが使え、URL単位でタイトル・メタタグ・構造化データまで含めて診断したい場合はDirebaseの基本SEOカテゴリに見出し構造の項目が含まれています。手順2の5項目を通過したら、それ以上の調整は不要です。
